2011-01-01から1年間の記事一覧

37「王だ! 大祭司だ! いや、預言者だっ!!! ダッダッダッ脱原発♩」

「福音と世界 2011・11」(特集=預言者とは誰か) 読みごたえのある特集でした。 まず北博さん(東北学院大学教授)。 エレミヤと言えば、一族からも迫害を受ける孤独な預言者であったと言われますが、北さんは、多数の敵もいたが、「隠れ支持者が相…

36 「アディオス、あんこギッフェリさん」

「甘い物は脳に悪い」(笠井奈津子) ハウツー物をもう一冊読みました。先週は、疲れが引かず、日中から本も読めないほどの眠気に襲われ、チョコレートをいくら食べてもだめなような状態だったので、こんなタイトルに惹かれてしまうのでしょう。 食事と健康…

35 「〈思う、考える〉より〈思い出す〉」

「書くことが思いつかない人のための文章教室」(近藤勝重) この手のハウツーものに手を出すことに恥ずかしさを覚えないわけでもありませんが、毎週七千字のお話しを書かねばならず、その材料がとうに枯渇してしまった者にとっては、強くそそられるタイトル…

(10)「弱く、恐れおののいて」

2:1-5 「弱く、恐れおののいて」2:2-3なぜなら私は、あなたがたの間で、イエス・キリスト、すなわち十字架につけられた方のほかは、何も知らないことに決心したからです。あなたがたといっしょにいたときの私は、弱く、恐れおののいていました。 パウロはコ…

34 「人間共通の課題に取り組んだガンジーやキングは個別の宗教に根ざしていた」

「信じない人のための<宗教>講座」(中村圭志) タイトルを見て、ひとつは、聴き手のほとんどがキリスト者でない高校の聖書の授業や、キリスト教会にあまり縁のない人びとに向けた教会のメッセージ発信の参考にならないかと、もうひとつは、世界の諸宗教につ…

(9)「主にあって誇れ」

1:29-311:31まさしく、「誇る者は主にあって誇れ。」と書かれているとおりになるためです。 わたしたちが誇るべきもの、わたしたちにとって一番大切なものはなんでしょうか。それは主です。神さまです。ところが、わたしたちはそれを忘れて、自分はこんなこ…

(8)「弱い者を選ばれた」

1:26-28 1:27しかし神は、知恵ある者をはずかしめるために、この世の愚かな者を選び、強い者をはずかしめるために、この世の弱い者を選ばれたのです。 パウロはこの手紙をコリントの教会の人々に向けて書いています。この教会には、有名な知識人や学者、貴族…

33 「放射能汚染食品を食べる責任」

「放射能汚染の現実を越えて」 「隠される原子力 核の真実 原子力の専門家が原発に反対するわけ」小出裕章 小出さんの主張で、ぼくの頭に残っているのは次のようなことです。1)日本で生活する者は積極的ではないとしても原子力発電の恩恵を受けているのだ…

(7)「キリストは神の力」

1:22-25 1:24しかし、ユダヤ人であってもギリシヤ人であっても、召された者にとっては、キリストは神の力、神の知恵なのです。 キリスト者は十字架の刑を受けたイエスこそが救い主=キリストと信じるのですが、信じない人々にとっては、それはとんでもないこ…

32 「『拮抗しつつ総体的には連携して難局に対処する』」

論文「軍事占領下における地域形成とキリスト教 ―――― 一九四〇年代の沖縄を事例に」(一色哲)(日本基督教学会編『日本の神学』49号所収 二〇一〇年九月十七日刊行) 一色さんからいただいた抜き刷りを読みました。そこで学んだことのいくつかを記します。…

31「三十年遅かったか」

「ドストエフスキー人物事典」(中村健之介) ドストエフスキーは二十歳前に読んでおけ、と聞いたことがあります。けれども、ぼくが読んだのはアラフィーになってからのこと。しかも、「カラマーゾフの兄弟」「罪と罰」「白痴」の三冊だけ。 きっかけのひと…

(6)「宣教のことばの愚かさ」

1:20-21 1:21事実、この世が自分の知恵によって神を知ることがないのは、神の知恵によるのです。それゆえ、神はみこころによって、宣教のことばの愚かさを通して、信じる者を救おうと定められたのです。 知恵や力を強めれば神さまを知ることができると人間は…

(5) 聖書を判断する私、相対的なものと絶対的なもの

聖書は神の言葉であり、私たちは聖書に「聞く」。しかし、そこには、聖書の言葉を解釈したり、評価したりする自分もいる。神や神の言葉である聖書が無条件に絶対的なものであって、私たちがそれに絶対無条件服従するのではない。たとえば、天地創造者であっ…

30 「長編小説は愛を描く」

「取り返しのつかないものを、取り返すために 大震災と井上ひさし」(岩波ブックレット) ぼくは井上ひさしの本はほとんど読んでいますが、大江健三郎の本はほとんど読んだことがありません。ヒロシマノートの一部をどこかで読んだかもしれない。大江光さん…

(5)

「十字架のことば」1:18十字架のことばは、滅びに至る人々には愚かであっても、救いを受ける私たちには、神の力です。 「十字架のことば」とは、神の子がわたしたちのために十字架についてくださったということです。けれども、ふつうはそのようには考えませ…

(4)私の物語としての聖書

(3)で述べた「信じる」の持つ排他性、強弁を克服するためには、聖書を物語として読むことが良いと思う。しかし、聖書は、私を包み込む「大きな物語」であるばかりでなく、いや、それ以上に、私自身の物語ではなかろうか。端的に言って、預言者たちやイエ…

(4)1:13-17 「キリストが分割されたのですか」

1:13キリストが分割されたのですか。あなたがたのために十字架につけられたのはパウロでしょうか。あなたがたがバプテスマを受けたのはパウロの名によるのでしょうか。 「私はパウロに」「アポロに」「私はキリストにつく」(1:12)と争う人々に、パウロは「…

(3)「信じる」とは何か、聖書は「信じる」対象なのか

ペルー人教会では、時々、日本人のために祈りがなされる。その中には、「まだ、神を知らない日本人に神を知らせてください」という項目が含まれていた。スペイン語や外国人との連帯に関心のある若い日本人会衆に対しても、いつかは、神様を知って、amigos 友…

(3)1:10-12「みなが一致して」

1:10さて、兄弟たち。私は、私たちの主イエス・キリストの御名によって、あなたがたにお願いします。どうか、みなが一致して、仲間割れすることなく、同じ心、同じ判断を完全に保ってください。 「みなが一致して」、これは単なる願望ではなく、「主イエス・…

29 「キリストは星の王子さまのよう」

「星の王子さま」(サンテグジュペリ、池澤夏樹・新訳) 「星の王子さま」(サン=テグジュペリ、稲垣直樹訳) 「星の王子さま」(サン=テグジュペリ、河野万里子訳) 「星の王子さま」(ジョアン・スファール、池澤夏樹訳、サン=テグジュペリ原作のコミッ…

28 「イエスを源としつつ、イエスを商品にしない」

「福祉・介護におけるスピリチュアル・ケア」(深谷美枝、柴田実) まず、スピリチュアル・ケアとはどういうケアなのでしょうか。つぎの言葉がわかりやすかったです。 「クライエントの不定愁訴やうつという症状は、客観的な精神医学的・心理学的次元での捉え…

27 「すでに救われているのか、さあ、これからか」

「福音と世界 2011・10 特集=ラインホールド・ニーバー没後40年」 ニーバーは1914年生まれのアメリカの神学者ですが、ぼくは一冊も読んだことはありません。 けれども、「神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたま…

(2) 私の背景:ペルー、ペルー人教会、教団移籍、「第三世界神学事典」

次に、私の考え方の背景となるいくつかの事柄について述べておきたい。 私はキリスト教徒の家庭に生まれ育った。しかし、それは、信仰という精神作用を継承したということではない。むしろ、日本におけるキリスト教徒という文化という枠組の中に、とりあえず…

(2)

1:4-9 「どんな賜物にも」1:7その結果、あなたがたはどんな賜物にも欠けるところがなく、また、熱心に私たちの主イエス・キリストの現われを待っています。 「どんな賜物」、これは、富や才能、健康をみなが等しく手にしているということではありません。む…

(1)

(1) 1:1-3 「聖徒として召され」1:2 コリントにある神の教会へ。すなわち、私たちの主イエス・キリストの御名を、至る所で呼び求めているすべての人々とともに、聖徒として召され、キリスト・イエスにあって聖なるものとされた方々へ。 パウロはコリント…

(1) 20世紀の遺産は崩壊したか?

2001年9月11日にニューヨーク等で起こった「アメリカ同時多発テロ」、そして、ブッシュ大統領、アメリカ政府、また、マスコミが伝えるアメリカ市民の声、すなわち、「テロリストに対して正義の報復を、正義によるテロの根絶を」、この両者の衝撃は強く、また…

18 「救いは法外」 

神の国とは、たとえば、このようなものかも知れません。ある人に三人の子どもがいました。最初の子どもは歯医者さんになる大学に入りました。父は歯科医になるなら安心だと満足しました。ところが六年目の四月、突如失踪し、なんとか帰ってきたかと思うと、…

26 「相手の苦しさ、無力感を、自分とはちがうその人の感じ方として受け取る」

「カウンセラーの〈こころ〉」 佐治守夫 ぼくは人の話や気持ちを理解することが苦手です。話を聞いていても、自然には理解できず、理解するには集中が必要ですが、その集中力もすぐ途切れて、何の話かわからなくなり、筋や訴えをわかろうとする誠実さを投げ…

25 「どれだけ殺されても殺されない何かが残る、と言ってしまうには」

「普天間よ」 大城立裕 沖縄について何かを書くことは、とても緊張します。沖縄の人々、歴史、風景などをほとんど知らないばかりか、知ろうとして少しだけ学んだことについても、浅くしかわかっていない、あるいは、間違って理解してしまっている、そういう…

24 「死ぬまで修正しつづけられる」

「イエス・キリストの履歴書」 岩島忠彦 カトリックの神学者だけれども非常に自由な聖書解釈をする宮本久雄さんが書評でこの本をほめていたので、わたしも読んでみました。著者の岩島さんは、書評の論者とは反対に、あくまでカトリックの信仰の伝統に忠実に…