2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

130 「絶対化ではなく相対化こそが神学伝統の知性」

「神学の起源―社会における機能」 (深井智朗、新教出版社、2013年) 「起源」とありますが、この本から伝わってくるものは、神学は二千年近く前にどのようにして発生したか、ということだけでなく、副題にあるように、その後の各時代の社会において、どのよ…

129 「フクシマからふくしま、福島へ 勝てないけど負けない戦い」

「被災地から問うこの国のかたち」 (玄侑宗久・和合亮一・赤坂憲雄、イースト新書、2013年) 前書きはお坊さんの玄侑さん、後書きは民俗学者、東北学の赤坂さん、間には、これに詩人・高校教員の和合さんを加えた三人の対談とそれぞれの講演記録。 玄侑さん…

128 「死さえ許されない「放射能」の「煮こごり」から逃れられないとしても」

「ヤマネコ・ドーム」 (津島佑子、講談社、2013年) 3・11以後の、いやそれ以前からの、この空間の重さを「煮こごり」と表現し、その煮こごりの中で生きざるを得ない人々、しかも、日本から捨てられた人々の問いと苦悩の、これまた、煮こごりと、そこからの…

 127 「あまちゃんの北鉄のモデル 震災と鉄道の意味」

コミック「さんてつ 日本鉄道旅行地図帳 三陸鉄道 大震災の記録」 (吉本浩二、新潮社、2012年) NHKの朝ドラの「北三陸市」は「久慈市」を、そして、「北三陸鉄道」は「三陸鉄道」をモデルとしています。 ドラマの、四半世紀前の開通シーン、震災時にトンネ…

126 「死んでしまえば、死はなくなるのか」

「死を見つめて(中学生までに読んでおきたい哲学?)」 (松田哲夫編、あすなろ書房、2012年) 死についての小文集。向田邦子、伊丹十三、池田晶子、神谷美恵子、河合隼雄、埴谷雄高、石原吉郎、そのほかの、読みごたえある執筆陣。大人が読む本。十代、二十…

125 「人によってそれぞれ違う悲しみに、形をもたらす手伝い」

「悲しみに寄り添う 死別と悲哀の心理学」 (K. ラマー著、浅見洋・吉田新訳、新教出版社、2013年) 大切な人に死なれ、悲しんでいる方々には、どのように寄り添えばよいのでしょうか。 本書の巻末にはつぎのように述べられています。 亡くなったことを言葉…

124 「キリスト教二千年の歴史はゆたかな霊的資源」

「キリスト教霊性の歴史」 (P. シェルドレイク著、木寺廉太訳、教文館、2010年) 「霊性」spirituality とは、いったい、なんのことでしょうか。ひとことで言えば、「わたしたちの中にある、神から与えられ、今も神とつながっている何か」ということにでも…