2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

755 「ぼくたちが探していた言葉とは何だろう」 ・・・ 「ひとりだと感じたときあなたは探していた言葉に出会う」(若松英輔、亜紀書房、2023年)

「探していた言葉」とはどのような言葉だろうか。 「人生の始まりを告げる言葉は、生の根源へと導くものでもあるから、ここでは、根源語と呼ぶことにする」(p.8)。 「探していた言葉」は「根源語」であろう。 ここでいう人生とは、「生活は水平的な方向のな…

754 「神さまを語る言葉の感性」 ・・・「CREDO: わたしは信じます、わたしたちは信じます」(教皇フランシスコ (著), マルコ・ポッツァ (著, 翻訳), 阿部仲麻呂 (翻訳, 解説)、2022年、ドン・ボスコ社)

「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった」(ヨハネによる福音書1:1)。 この「言(ことば)」と訳されたもともとのギリシャ語はロゴスという単語で、「言葉、理性、世界の根本原理」というような意味だそうですが、本書の訳者の阿部さんはこ…

753 「ぼくしのふくし、ふくしのぼくし」 ・・・ 「どん底から見える希望の光―ともに生きる福祉の実践」(佐々木炎、2019年、キリスト新聞社)

カバーに「牧師×福祉」とあります。著者の佐々木さんは牧師の仕事と福祉の仕事をしておられます。「ぼくし」、「ふくし」。一文字しか変わりません。 本書には、副題の通り、「福祉の実践」が書かれているのですが、ぼくには、これはそのまま、「牧師の実践…

752 「真理とは、分離以前、未分のこと」・・・「宗教とその真理」(柳宗悦著、若松英輔監修・解説、2022年、亜紀書房)

「余は例えばキリスト教の存在がただちに仏教の非認であるとは思わぬ。一宗の存在がただ他宗の排斥によって保たれるのは醜い事実であろう。多くの宗教はそれぞれの色調において美しさがある。しかも彼らは矛盾する美しさではない。野に咲く多くの異なる花は…

751 「わかちあい大事にしあう価値観を、中に間に、〈埋め込む〉」・・・ 「コモンの「自治」論」(斎藤幸平他著、2023年、集英社)

誤読ノート751 「わかちあい大事にしあう価値観を、中に間に、〈埋め込む〉」 「コモンの「自治」論」(斎藤幸平他著、2023年、集英社) コモンとは、空気や水、教育、医療など、社会の共有財産のことである。自治とは、政治家、支配者、資本家など一部の者…

750 「未来のために、未来がなくなってしまった事態を今想定する」・・・ 「未来のための終末論」(大澤真幸、斎藤幸平、2023年、左右社)

学術論文や専門書は読んだことはないが、一般読者向けのものを読む限り、大澤は難しいが、斎藤はわかりやすい。 本書の前半は、ふたりの対談、後半は、大澤の考察。前半は読みやすいが、後半はやや難しかった。 印象に残った言葉。 「まず是正すべきは資本の…

749 「深河鉄道の夜明け」 ・・・ 「遠藤周作『深い河』を読む: マザー・テレサ、宮沢賢治と響きあう世界」(山根道公、日本キリスト教団出版局、2023年)

若松英輔さんの「日本人にとってキリスト教とは何か: 遠藤周作『深い河』から考える」を読み、ついで「深い河」そのものを読み、もう少し何かを読みたいと思っていたところ、本書を見つけた。 「深い河」がじつに深く解き明かされている。遠藤の生涯や諸作品…

748 「新約聖書を読む現代」 ・・・ 「新約聖書の時代: アイデンティティを模索するキリスト共同体」(浅野淳博、教文館、2023年)

じつにおもしろい。とても読みやすい。ぼくは、本は数冊並行読みするのだが、この十日間はこの一冊に集中した。 紀元30年ごろ、イエスが「神の国」運動をなした。それに何らかの意味でつながる、ユダヤやギリシャ諸王朝、ローマ帝国の歴史。イエスの運動の歩…