2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

(36)「わたしたちには死で終わらない何かがあります」

死んでしまったら、すべてがおしまいになってしまうのでしょうか。肉体の生命、わたしたちの生物としての生命が終わってしまったら、すべてなくなり、ゼロになってしまうのでしょうか。 わたしたちは、そういう虚無感に浸ってしまうこともありますが、はんた…

358  「これを読めば、あなたの説教は生き生きする」 「説教への道 牧師と信徒のための説教学」(加藤常昭著、日本キリスト教団出版局、2016年)

日本語では、「教会」と言い、「説教」と言います。「教える」という字が入ります。けれども、たとえば、churchやsermonの語源には「教える」という要素はないようです。(かと言って、欧米の教会が「教える」姿勢を持っていないかどうかはわかりませんが。…

357  「詩的、文学的表現のわかりやすい入門書」  「はじめてのやさしい短歌のつくりかた」(横山未来子著、日本文芸社、2015年)

短歌をつくりたい、というよりも、文章が上手になりたい、詩的、文学的な文を書きたいと思い、手に取ってみました。 「ひとつの歌の形ができると、その表現にこだわってしまうことがよくありますが、初案にこだわりすぎないということも推敲のポイントのひと…

38 「外国の人びと、貧しい人びとを虐げてはならない」

外国人を虐げてはならない その人びとはこの土地で あなたたちと共に生きている いまここに身を寄せている人びとも この土地で生まれ育った人びとも あなたたちと同じように大事にしなさい かつてあなたたちもエジプトで 虐げられていた わたしはあなたたち…

356  「なぜ社会問題にコミットするのか」  「100分de名著 石牟礼道子『苦海浄土』」(若松英輔著、NHK出版、2016年)

ぼくはキリスト教徒ですが、さまざまな差別、沖縄の米軍基地、安保法制などの問題に関心を持ってきました。宗教は社会の問題、政治の問題に関わるべきではない、と言う人がいます。けれども、これらの問題が先にあるのではありません。 人の人格、人生、生命…

(35)「遠くを見て歩くための光」

校庭に石灰で線を引いたことがありますか。白くすっと伸ばすのは、なかなか難しく、すぐに蛇のようにくにゃっとなってしまいます。砂浜をまっすぐに歩くのも、簡単ではなく、足跡はどうしてもくねくね波打ってしまいます。 けれども、校庭では、これから引く…

37 「不正な裁判をしてはならない」

あなたたちは何から何まで 自分のものにしてしまってはならない 大地の実りを狩り尽くしてはならない 貧しい人びととわかちあわなくてはならない 森の木を倒し尽くしてはならない 大地から奪い尽くしてはならない あなたたちは盗んではならない うそをついて…

355「これは個人変化ではなく社会革命の本です」「雇用なしで生きる スペイン発『もうひとつの生き方への挑戦』」(工藤律子、岩波書店、2016年)

この本の題名は、中味を和らげて伝えているかもしれません。「雇用なしで生きる」とは、自営業者になる、ということだけを意味するのではないからです。あるいは、「もうひとつの生き方」とは、個人の生き方ではなく共同体の経済関係のあり方のことだからで…

354  「38年前に読んだなら、羽なし扇風機でも作ったかも」

「眠っていた数学脳がよみがえる ふたたびの微分・積分」(永野裕之、すばる舎、2016年) 早さ×時間=距離。物体は落下しながら速度を増していく(空気抵抗は無視してね)。こうしたことは、公式化されても、頭の中でイメージしやすいですね。 微分・積分で…

353  「猫かぶりか、虎の威か、いや世紀のアロエです」 「雪に閉ざされて 冬の田園詩」(ジョン・グリーンリーフ・ホイッティア著、根本泉訳、2016年、新教出版社)

たいせつに思う人にプレゼントし、この味わいをわかちあいたい。そういう長編詩です。版元はこのように紹介しています。「ホイッティアは奴隷解放運動に挺身した19世紀のクェーカー派詩人。この作品は詩人の少年時代に大雪が降った時の想い出をうたった牧歌…

352  「どんな人をも無条件に愛する神が、正義の戦いにぼくらを促している」「神の国の証人ブルームハルト父子 待ちつつ急ぎつつ」(井上良雄著、1982年、新教出版社)

「ぜったいに止める」。昨年、国会前に集まった数万の人びとの中で、若者のこの声に耳が傾きました。安保法制は絶対に止めなければならない、その思いは、とうぜんぼくにもありましたが、どうじに、これまでのいくつもの経験から、絶対に阻止しなければなら…

(34)「手を握って離さないでいてくださるお方がおられます」

「お手て、つないで、野道を行けば」。今から百年近く前に作られた童謡の一節です。「手をつないで、いつまでもずっと」。十年くらい前にヒットした「雪の華」という歌謡曲の一節です。 子どもは家族や友達や大人と手をつなぎたがります。大人は好きな人の手…

351  「詩が難解な理由の一端に触れたかも」

「ランボー 自画像の詩学」(中地義和、2005年、岩波書店)詩人は目に見えない世界、世界の根源に触れて、それを言葉にしている、と聞いたことがあります。ならば、詩を読んでみよう、できるならば、詠めるようにもなりたい、と思い、いくつかの詩集を手にし…