2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

(92) 「悪いものも良いものも膨らみますが、良いものが悪いものを覆い尽くします」

6月23日。沖縄戦没者追悼式で、少女が祈るように読み上げた詩には、「戦力という愚かな力を持つことで、得られる平和など、本当は無い」という一節が刻み込まれていました。他方、その式に参列していた安倍首相とその政権は、沖縄・辺野古に米軍基地を新設し…

433「言葉を紡ぐために、祈るために」  「詩集 幸福論」(若松英輔、亜紀書房、2018年)

言葉を紡ぐことと 祈ること どちらも 発することではない どちらも 受け取ること 言葉を紡ぐことは 天から降りてくる 言葉を待つこと 「思ったことを 書くのではない 宿ったことを 書くのだ」 「宿りに求められるのは 待つことだ」 祈ることは 天から降りて…

(91)  「向き直らなければならないことがあります」

小学校低学年だったでしょうか。子どものころ、小倉で原爆展が開催されました。親に連れて行かれたのだと思います。親との外出ということで、最初は浮かれていましたが、すぐに、見続けるのが恐くなりました。焼けた街、建物、そして、人。高熱のせいで、靴…

432「国の政治のあり方は、あたらしく考案・構築可能なものだったのだ」   「明治史講義 【人物編】」(筒井清忠編、ちくま新書、2018年)

1800年代半ば、鎖国の日本にも、諸外国が迫ってくる。見るからに強そうだ。これに打ち負かされないためにはどうしたらよいか。 250年も経ちあちこち綻んできた徳川幕府では太刀打ちできない。どうするか。 大久保利通は「朝廷の下での幕府と有力藩(雄藩)に…

(90)  「たいしたことがないと思えば、たいしたことは学べません。何かあると思えば、何かが変わります」

いつも同じことの繰り返しのように思える高齢者の話でも、良く聞いてみると、じつは、毎回違うことを言っているはずだ、とカウンセリングの講習会で習いました。たしかに、同じ話だからつまらないと決め込まないで、あらたな気持ちで聞いてみると、いままで…

431「詩は宗教以上に神を語る」    「島の四季 志樹逸馬詩集」(志樹逸馬、編集工房ノア、1984年)

神は目に見えない。だから、宗教用語だけに任せてはならない。 だから、詩人は詩を詠む。 「ものの芽の均しく/天を指さす季節が来た」(「春」) 植物は天への憧れだ。 「洗濯は/みどりの風に微笑う/清潔なこころが/天にむかって/両手を高くのばす」(「洗…

(89) 「体の中に溜まっていた重い澱みが、イエスの言葉で、ざあーっと流れ出て行きました」

いつも子どもに抑え付けるような言い方をする親がいます。部下に有無を言わせない上司、妻に逆らわせない夫もいます。相手の言うことを聞かず、手も足も顎も縛り、身動きをさせず、何も言わせず、ただ自分の言いたいことだけを言い、したいことだけをするよ…

430「神の愛や善を少しでもわかちいただく精神を持ちたい」  「トマス・アクィナス 理性と神秘」(山本芳久、岩波新書、2017年)

自分のためなら、人を傷つける。それではいけないとわかっていてもそうしてしまう。そのような自分でも、神に見捨てられない=神からは赦されることがあるならば、それは、神の恩赦、神が自分に条件を求めず一方的にもたらす恩恵(これをキリスト教では恩寵…

(88) 「イエスが吹き込んでくれるもの」

毎日毎日が貧しくても厳しくても、美空ひばりの歌が流れていれば、疲れた体を明日も何とか起き上がらせよう、という気持ちになった時代があると聞いています。落胆しかないようなときでも、ロッキーやスター・ウォーズのテーマを聞けば、元気や希望が湧いて…