2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

692「宗教の目的は、絶対ではなく相対ではないかな」 ・・・ 「世界社会の宗教的コミュニケーション」(土方透編集、聖学院出版会、2020年)

宗教学の学びになるかと思い、入手しました。もともと日本語で書かれた論文(?)、外国語から訳されたもの論文(「論文」だと思うが・・・)、どちらも、わたしには、難しくて、読み難かったです。 また、本書全体がどういうテーマなのかも、よくわかりませ…

691 「社会的なこととはどのようなことなのか」・・・「命題コレクション  社会学 」(作田啓一/井上俊編、ちくま学芸文庫、2011年)

「一つの性が一つの集合体として、他方の性からの不利な取り扱いを余儀なくされているのは人類のみである」(「文化としての性差(M・ミード)」、井上眞理子)。 これは、性の二分法に基づいた言い方だから、「ある性が一つの集合体として、他の性から不利な…

690  「わたしは詩情を呼び覚まし、人間は詩の一語を刻まねばならない」・・・ 「詩集 美しいとき」(若松英輔、亜紀書房、2022年)

「私は わたしに/生まれたのだから/必死になって わたしに/ならなくてはならない」(「私がわたしに出会う旅」、p.6)。 「私」と「わたし」はどう違うのだろうか。 「優れた/人材になる前に/まず/人間に/ならねばならない」(「禁忌」、p.89)。 「人…

689  「寅さんの説教学」・・・「寅さん大全」(井上ひさし監修、筑摩書房、1993年)

なぜ、この本を読んだのか。ぼくはキリスト教にかなり深く浸かっているのに、トマス・アクィナスの「神学大全」は手にしたことがない。こちらの方が読みやすそうだ、ということがひとつ。 もうひとつは、「男はつらいよ」の映画全作連続鑑賞の二回目をこの夏…

688 「ひさしぶりのひさしさん」 ・・・ 「笑いの力、言葉の力: 井上ひさしのバトンを受け継ぐ」(渡邉文幸、理論社、2022年)

井上ひさしの小説、芝居は、ほとんど読んだ。2010年の彼の死後も、未完の小説なども含む作品の出版が相次いだ。並行して、井上ひさしを論じる本もいくつか出版された。 けれども、そういう数年が過ぎてからは、井上ひさしの書いたものや井上ひさしについて書…

687  「言葉には神を込めて」・・・「はじめての利他学」(若松英輔、2022年、NHK出版)

「利他」と聞くと、他者を利する、人に良いことをすることだと思う人もいるでしょう。押し付けがましいというニュアンスも込めて、ああ、道徳のお話しなのだ、と感じる人もいるでしょう。 しかし、本書によれば、道徳とは、こういう良いことをしましょう、と…

686  「資本主義経済に頼らずに共同体を営む道はないか」・・・「里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く」(藻谷 浩介、 NHK広島取材班著、角川新書、2013年)

エネルギーと言えば、石油や電力を思い浮かべるが、この本に出て来る内外のいくつかの街では、製材業の副産物である木片を燃やすことで暖房、調理用の熱を得ている。里山はその木材の供給地である。 市場を独占する大企業に依存せずに、生活に必要なものを手…

685  「一宗教の宣伝などではない広さ、深さ」 ・・・ 「真宗入門」(武田定光、因速寺出版、2022年)

先輩宗教人の紹介で武田さんの本を読むようになりました。武田さんは、因速寺の住職ですが、キリスト教会の牧師のわたしが最近喜びをもって読む書き手のひとりです。彼の本は、宗教書とも哲学書とも思想書とも呼べるでしょうし、世界観の書と言ってもよいで…