2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

25 「どれだけ殺されても殺されない何かが残る、と言ってしまうには」

「普天間よ」 大城立裕 沖縄について何かを書くことは、とても緊張します。沖縄の人々、歴史、風景などをほとんど知らないばかりか、知ろうとして少しだけ学んだことについても、浅くしかわかっていない、あるいは、間違って理解してしまっている、そういう…

24 「死ぬまで修正しつづけられる」

「イエス・キリストの履歴書」 岩島忠彦 カトリックの神学者だけれども非常に自由な聖書解釈をする宮本久雄さんが書評でこの本をほめていたので、わたしも読んでみました。著者の岩島さんは、書評の論者とは反対に、あくまでカトリックの信仰の伝統に忠実に…

23 「思い出に生きる人、まだ待っている人」

「ノアの子」 エリック=エマニュエル・シュミット カトリックの神父がユダヤ人の子どもたちをナチスの手から守り抜こうとします。神父は子どもたちがユダヤ人であることをまわりに知られないように、教会のミサに連れて行くなどしますが、それと並行して、…

17 「近寄って、座って」 

ルカによる福音書10章には、「善いサマリア人」のたとえ話があり、それに続いて、マルタとマリアのエピソードが載っています。この二つの話には何かつながりがあるのでしょうか。 「善いサマリア人」のたとえ話では、「それを実行しなさい」(28節)、あるいは…

22 「どんな的外れの仮説でも、定説の鸚鵡返しよりはよっぽど価値がある!」

「人が共に生きる条件 説教・奨励集」 並木浩一 「そこでヨブは、ヤハウェに応答して言った。まことに、私は小さい者です。あなたに何と返答できましょう、わたしはわが手を口に置くだけです。わたしは一度語りましたが、答えることはできません。二度語りま…

21 「この病気の人は人格発展を遂げる」

「統合失調症とのつきあい方 闘わないことのすすめ」 蟻塚亮二 統合失調症患者さんは世の中の百人に一人くらいだと言われることがあります。わたしの経験を振り返って、キリスト教会では十人に一人くらいのような気がしています。やはり、病気にかかわる諸々…

20 「神を判断するボクの言い訳」

「ふしぎなキリスト教 日本人の神様とGODは何が違うか?」 橋爪大三郎×大澤真幸 この本には「誤読ノート17」でもワンポイント触れましたが、あと三点挙げておきます。 「言葉はふつう、誰かが誰かに話すものなので、人間同士の関係のなかで相対化されてしま…

19 「あなたの父なしに」

「二羽の雀が一アサリオンで売られているではないか。だが、その​一羽さえ、あなたがたの父のお許しがなければ、地に落ちることは​ない」(マタイ10:29)、新共同訳はこう訳しますが、岩波は​「あなたの父なしに地上に落ちることはない」としています。「父の…

18 「弱肉強食ではなく」

ヨブ記に、動物の食物連鎖など自然界が弱肉強食の掟に支配されて​いることが描かれていますが、並木浩一さん(「人が共に生きる条​件 説教・奨励集」、新教出版社)によれば、これは、間接的に、​人間世界の掟=律法の大切さを示しているということです。自…

17 「聖書の奥深さ」

(イエスの生と死という)「一番肝心なことについて、複数の福音書という形で微妙な不確定性があって、そういう立場の違いをはじめから認めているようなところが、キリスト教の奥深さだと思うんですね」(「ふしぎなキリスト教」における大澤真幸さんの発言…