聖書の話を身近な経験に置き替えてみた
急がば回れ、と言います。聞き慣れてしまっていますが、この言葉を初めて聞いたとき、強い印象を受けるのは、急ぐことと回り道をすることが正反対のことだからです。逃げるが勝ち、もそうです。ほんらい、逃げることと勝つことはまるでさかさまのことではな…
父は気の短い人でした。よく怒られ、怒鳴りつけられました。一方的にまくしたてられました。こちらの言うことには耳を傾けてくれませんでした。それでも、父が好きでした。父にほめられたかったし、話を聞いてほしかったのです。 大学に入学したものの、まっ…
定年退職後、被災地などでのボランティア活動に打ち込んでいる人びとがいます。ぼくは、宝くじで2億円当たれば、家族で住める住宅を数千万円で買い、残りのお金を二十年の生活費、子どもの学費として、定職には就かず、各地での支援活動、それから、ある種の…
財界人や芸能人などが、百万、千万、億の単位で、寄付や支援や献金し、マスコミに取り上げられることがあります。けれども、残るお金も、千万、億、十億の単位です。小学生が貯金箱の小銭を全部献金しました。一万円にもならないかも知れません。けれども、…
翁長雄志さんは人生の最後の四年間を沖縄の人びとにささげました。もともと自民党員で保守政治家でしたが、米軍基地の存在によって沖縄の人びとが苦しめられていることをこれ以上放置できず、辺野古新基地建設を阻止するために、県知事となり、強行する国に…
かつて女性には参政権がありませんでした。政治から締め出されていたのです。(日本では今も女性の政治家は少ないですが・・・)。それだけではありません。それ以外にも女性が「入ってはならない」とされる場がたくさんありました。いまもあります。 ひじょ…
災害級と呼ばれる猛暑が続きますが、子どもたちの運動部活動もまた続きます。親としては熱中症が心配です。本当は、35度を超える日は練習を中止にして欲しいし、二日練習したら一日休ませるぐらいの体調配慮を指導者に望みたいのですが、なかなかそうはいき…
子どもが、保育園の時、リレーの最終走者に選ばれました。「おまえが一番足が速いのか」と訊いたら、「先生は、最後まであきらめない人、最後まで走り続ける人にアンカーを任せた、と言っていたよ」という返事でした。 ある人は高校生の時から自分の部屋に引…
演劇のおもしろさに気付いたなら、わたしたちは、自分の小さな部屋を出て、劇場に行かずにはおられません。シネマの味わいに触れたなら、家を出て、映画館に行かないわけには行きません。 山の魅力を覚えたなら、わたしたちは、町を出て、登山口へ向かいます…
6月23日。沖縄戦没者追悼式で、少女が祈るように読み上げた詩には、「戦力という愚かな力を持つことで、得られる平和など、本当は無い」という一節が刻み込まれていました。他方、その式に参列していた安倍首相とその政権は、沖縄・辺野古に米軍基地を新設し…
小学校低学年だったでしょうか。子どものころ、小倉で原爆展が開催されました。親に連れて行かれたのだと思います。親との外出ということで、最初は浮かれていましたが、すぐに、見続けるのが恐くなりました。焼けた街、建物、そして、人。高熱のせいで、靴…
いつも同じことの繰り返しのように思える高齢者の話でも、良く聞いてみると、じつは、毎回違うことを言っているはずだ、とカウンセリングの講習会で習いました。たしかに、同じ話だからつまらないと決め込まないで、あらたな気持ちで聞いてみると、いままで…
いつも子どもに抑え付けるような言い方をする親がいます。部下に有無を言わせない上司、妻に逆らわせない夫もいます。相手の言うことを聞かず、手も足も顎も縛り、身動きをさせず、何も言わせず、ただ自分の言いたいことだけを言い、したいことだけをするよ…
毎日毎日が貧しくても厳しくても、美空ひばりの歌が流れていれば、疲れた体を明日も何とか起き上がらせよう、という気持ちになった時代があると聞いています。落胆しかないようなときでも、ロッキーやスター・ウォーズのテーマを聞けば、元気や希望が湧いて…
「そして父になる」という映画がありました。出生時に病院のミスで、子どもが他の家の子どもと取り違えになってしまいます。小学校入学時にそれが発覚し、そこから、登場人物たちは、親子とは何か、という大きな問いを抱え、苦しんだり、喜んだりすることに…
個別指導塾というものがあります。教師一人に対し生徒が多数では、すべての子にしっかりと伝え、その情報や方法を身につけさせることは難しいからです。その子がどんなことは理解し、どんなことは理解できていないのか、どんな技術は身につけ、どんな技術は…
「さようなら」は別れの言葉ではなくて、いつかはわからないけれども、もういちど会える日が来るという希望。また逢う日を想いつつ、別れる。 これは、ひょっとしたら、日本のポピュラー・ソングだけが独占しているテーマではないかもしれません。別れには、…
誰かに愛されたことのある人はこんどは他の誰かを愛するようになる、と聞いたことがあります。方程式のようにいつもそうなるとは限らないでしょうが、たしかに、誰かにやさしくされると自分も他の人に対してやさしい気持ちがもてる、という経験は一度や二度…
十余年前に教会の建物を建て替えました。そのさい、庭に木の苗を何本か植えました。オリーブ、いちじく、リンゴ。桃栗三年、柿八年と言いますが、たしかに、ここ数年、どの木もよく実を結んでいます。 オリーブは摘むと数籠にもなり、アクを抜いて漬けていた…
自分の話ばかりして、こちらの話を聞いてくれない人。自分の意見を主張するばかりで、こちらの意見を理解しようとしない人。自分は傷ついたと言うが、相手も傷ついていることをわかろうとしない人。すみませんでしたと言われても、こちらこそすみませんでし…
立食パーティのように多くの人が集まり自由に語り合う場では、すこし緊張します。親しい人がいない場合は、顔見知りの人をみつけて、なんとか輪に入ろうとするのですが、どうも、ぼくなどが加わるとせっかくのお話しを邪魔してしまうのではないか、などと考…
行ったことのない遠方に引っ越すことが不安でも、「同じ日本なのだから大丈夫」と思えば、気持ちが落ち着くこともあるでしょう。ほんとうは、それぞれの地に特徴があり、一緒くたにすることはできないにしても、同じアジアなのだから、同じ地球なのだから、…
大学生のころ、初めて行った海外。着陸間近の飛行機の窓からハワイの土と緑を目にしたとき、「ああ、ついに外国を、この目で見たぞ」と感動したものでした。 12月15日のシネコンのスクリーン。スター・ウォーズ・エピソード8。待ちに待った大スペクタクルを…
花は美しく、花には愛が満ちています。つぼみが美しく、開いて美しい。育てる人に美しく、観る人びとに美しい。観て美しく、写真に撮って美しい。 花の種を蒔く人、球根や苗を植える人は、花を愛しています。花を愛するから、花を植え、花を育てるのです。花…
部活があったため、中学最初の二年間は、子どもたちは塾に行かせませんでした。その代わりに、通信教育の添削教材をやらせていました。けれども、成績があまり良くないので、教科書に即した市販の問題集も買い与えました。三年生になって、はじめて、塾に行…
もし死後の世界があるなら、そこはどのようなところでしょうか。今わたしたちがいる世界と同じように、時間があり、空間があるのでしょうか。今と同じように言葉や意識をひとりひとりが持っているのでしょうか。 先に旅立ったおばあちゃんは92歳の姿のままそ…
「勉強したか」と子どもたちに聞くと「したよ」と答えますが、教科書を眺めているだけでは、じつは勉強をしたことにはなりません。英語の綴りや基本用語など覚えるべきものは覚える、数学なら学んだ公式や定理を利用して問題が解けるようになる、そして、そ…
「大丈夫だよ! 明日の試合はきっと勝てるよ!」 試合の結果はどうであれ、この言葉は「ウソ」ではないでしょう。なぜなら、これは、試合結果のニュースでもなければ、試合前の予知でもないからです。そうではなくて、激励や鼓舞や慰撫の言葉なのです。 「あ…
Aさんは、家族もなければお金もなく、高齢のうえに病気を抱えていて、働けません。働ける時は働いていたのですが、毎日の生活費を確保するのに精一杯で、老後の蓄えなどはできませんでした。けれども、この人が社会福祉制度を利用しようとするとき、「いや、…
ある親が子どものことで先輩に相談に行きました。「わたしは、あの子を小さいころから塾に行かせました。勉強ばかりでは駄目だと思い、スイミングにも通わせました。それだけでも足りないと思い、本もたくさん揃えました。早くからパソコンにも親しませまし…