2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

784 「ある批評家の揺籃期」 ・・・「藍色の福音」(若松英輔、2023年、講談社)

若松さんは、大学卒業のころだろうか、神経を病んだ、と言う。 「原因は実社会で働くことへの怖れもあったのだろうが、それは、ある意味で表層の理由に過ぎない。逃げようとしていたのは、自分自身からだった。ただ、そのことが実感できるまで、短くない時間…

783 「畦。あぜ? うね?」・・・ 「農は過去と未来をつなぐ――田んぼから考えたこと」(宇根豊、2010年、岩波ジュニア新書)

この新書シリーズから著者が出しているもう一冊の本を読んだ後のノートを公開したところ、「あ、宇根さんだ」というコメントをいただきました。何冊も本を出しておられるし、「宇根豊さんってこの世界では知られた人なのだな」くらいにしか思わなかったので…

782 「農村は国家や企業のためにあるのではない」・・・「日本の農村社会とキリスト教」(星野正興、日本キリスト教団出版局、2005年)

幕末までの農村社会には、自治と自由があったが、それ以降、貧しくされてきた、と著者は言う。 ひとつは、地租改正による。穫れ高に関係なく地価に基づいて金で納税しなくてはならなくなった。また、入会地、草刈場のようにもともと共有地であったものが官有…

781 「神学などと言わず、証しと言おう」 ・・・「証し 日本のキリスト者」(最相葉月、KADOKAWA、2022年)

キリスト教の牧師を30年近くやっているが、ぼくの話は「証し」ぽくない。難解な理屈っぽいことは語らないが、「ぼくはこう信じている」というよりは「聖書によれば、神はぼくたちにこうしてくださる」ということを中心に述べる。 具体的には、神は無条件でぼ…

780「世界的規模の思想とつながっていくキリスト教思想の展開を」・・・「農村伝道神学校創立70周年記念誌 荒野を拓く」(2022年)

「農の神学」というZOOMミーティングを、広島の山間部に移住した友人の牧師らと月一くらいで細々とやっている。 これに刺激され、またメンバーのひとりに紹介され、今かなり売れているらしい「レジリエンスの時代 再野生化する地球で、人類が生き抜くための…