2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

62 「人間は神と対峙できるほどに偉大なのである」

「ロシア宗教思想史」(御子柴道夫、成文社、2012年3月) ドストエフキーやトルストイを読んで、ロシアのキリスト教に大地的感覚を与えるような、キリスト教以前の宗教思想があるような気がなんとなくしていて、この本はそういう話か、あるいは、個人的、都…

61 「いますぐこないからといって切り捨てることはできない」

「旅のパウロ その経験と運命」(佐藤研、岩波書店、2012年2月) パウロといえば、新約聖書に収められている手紙の中で表した神学や思想にスポットがあてられがちですが、佐藤さんは「彼の本領はその旅の行動性の方に」(p.2)あると言います。 本著では、パ…

60 「初めから「負けている」のである」

「フォトエッセイ 希望の大地 「祈り」と「知恵」をめぐる旅」(桃井和馬著、岩波書店、2012年6月6日) 桃井さんの写真は絵なのでしょうか。それとも、フェルメールの絵が写真なのでしょうか。光、闇、空間、そして、そこにたたずむ人を描き出したその一枚は…

59 「意見が一致しないのは、必ずしも悪いことではない」

「中学生からの 対話する哲学教室」(シャロン・ケイ、ポール・トムソン著、玉川大学出版部、2012年4月20日) 「哲学教室」と言っても、この本は、哲学者や哲学者研究者の書いた難解な文章を読んで、それを再現したり、引用したりできるようになることを目指…

B年 キリストの聖体  マルコ14:12-16, 22-26

(以下は、ペルーで働く聖コロンバン会神父、ノエル・ケリンズの「福音書のイエスに今日したがう」からの翻訳です。毎日曜日の福音書の箇所へのコメントですので、原則的には、週に一度更新します。) 「体」や「血」とは、イエスの人格のことです。この聖体…