2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

75 「別案が採用されても」

「アメリカを動かす思想 プラグマティズム入門」(小川仁志、講談社現代新書、2012年) 中学校の英語で、日本語にすれば「もっとも美しい景色(複数)のひとつ」という表現を習ったとき、わたしもご多分に漏れず、「もっとも美しい景色」がふたつもみっつも…

74 「到着のつぎに来るものは」

“The Arrival”(Shaun Tan, Arthur a Levine, 2007) Facebookで知り合った画家の友達が紹介してくださった珠玉の一冊。 この本から、ぼくは絵をていねいに読むことを教わりました。 タイトルの通り、貧困、暴政、戦争・・・何らかの事情による、ある国から…

73 「対話が育ちますように」

「わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か」(平田オリザ、講談社現代新書、2012年) これは、プレゼンや人づきあいがうまくなって仕事や人生で成功しよう、などというイカサマ・ハウツー本ではありません。むしろ、それへの疑問です。 劇作…

72 「救われるはずがない彼・彼女らの救い」

「イエスとパウロ キリスト教の土台と建築家」(G. タイセン著、日本新約学会編訳、教文館、2012年) この本はタイトルの通り、イエスとパウロを取り扱っています。 歴史上の人間(としての)イエスは、自分自身を神として示すことはなく、自分が根本的な信…

70 「権力者が歴史を、苦しむひとびとは歌を」

「アイルランド紀行 ジョイスからU2まで」(栩木伸明、中公新書、2012年) ある朝の新聞広告に惹かれて、丸谷才一訳の「若い藝術家の肖像」を読んだのが、アイルランドへの若干の興味の始まりだったかも知れません。 20世紀の巨匠とされるJ. ジョイスの本は…

71 「一番伝えたいことが伝わらない」

「キリガイ ICU高校生のキリスト教概論名(迷)言集」(有馬平吉編著、新教出版社、2012年) 漢字で書けば「国際基督教大学高等学校」という、大学だか高校だかわかりにくい高校の、「キリスト教概論」なる授業を受けて、生徒たちが書いたレポートと、それを…