2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

160 「来ていただくためには、行く人の立場で」

「もっと教会を行きやすくする本 『新来者』から日本のキリスト教界へ」(絵と文 八木谷涼子、キリスト新聞社、2013年) 「(もっと教会を)来やすくする本」という言い方のほうが自然に感じること自体が、ぼく自身がどっぷり教会の中にいる証拠でしょうね。…

159 「歴史は変化、変化は希望」

「歴史観とキリスト教」(黒川知文著、新教出版社、2013年) 歴史って何?って訊かれたら、どう答えますか。そもそも、時間って何なのでしょうか。神さまが世界と同時に時間を創った? 世界は創ったけど、時間は創らなかった、なんてことが、理屈の上でもあ…

158 「社会的な問題を描くにも、大活劇が必要なアメリカ映画」

映画「キャプテン・フィリップス」(トム・ハンクス主演、ポール・グリーングラス監督、2013年) 「遠い夜明け」を思い出しました。前半はアパルトヘイトの残虐さ、そして、それと闘う人々を描く社会派映画ですが、後半の脱出物語は、ハラハラドキドキの娯楽…

157 「生は罪の罰ではない」

映画「かぐや姫の物語」(高畑勲監督、2013年) 水彩画のような和風アニーション。 かぐや姫は、地球では、男どもの所有欲に悩まされつつも、凛と自分を保ち貫く。 月からの迎えの者は、そんな世界を「穢れたところ」と呼ぶが、姫は、「穢れたところなんかで…

156 「悪魔が降りてくるまでの地獄と、そこから生まれる言葉の天国」

テレビ番組「プレミアムドラマ 劇作家・井上ひさし 誕生の物語」(NHK BS、2013年12月15日放映) 北村有起哉と内山理名が、ひさしと好子夫婦を好演。 ひさしの暴力も、ある程度描いている。好子も打ち返している。 番組最後に西舘好子さんが語る映像もあるの…

155 「3・11の死者のことを小説にしていいのか、という小説」

「存在しない小説」(いとうせいこう、2013年、講談社) 3・11文学、と呼びたくなる小説がいくつか書かれてきました。池澤夏樹「双頭の船」、津島佑子「ヤマネコ・ドーム」、佐伯一麦「帰れぬ家」、重松清「きみの町で」、佐々木中「らんる曳く」、そして、…

154 「人の意見を聴き、納得して、自論を置き、賛成する」

映画「清須会議」(三谷幸喜監督、2013年) ぼくの所属する組織の全国代表会議では、「議長や役員選挙ではこの人に入れてください、この議案には賛成してください、この議案には反対してください」というアンチョコが議員の6割くらいにわたされ、彼らはすべて…

153 「イエスは、神の国、反帝国の王」

「福音の再発見―なぜ“救われた”人たちが教会を去ってしまうのか」(スコット・マクナイト著、中村佐知訳、キリスト新聞社、2013年) 教会に来る人が増えないかなあ、などという子どもの煩悩に囚われているぼくは、副題に釣られてしまいました。 しかし、中身…

152 「死者は、死を乗り越えてくれ、わたしとともにいてくれる」

講演「光は、ときに悲しみを伴う〜クリスマス・キャロルを読む〜」(若松英輔さん、2013年12月7日、「ミシュカの森 2013」として) 世田谷事件遺族の入江杏さんらによる「ミシュカの森」実行委員会の皆さんが、「魂にふれる 大震災と生きている死者」などの…

151 「ドロドロの、からだが、どこまでも、沈み込む、が、生き、息る」

「らんる曳く」(佐々木中、河出書房新社、2013年) 73年生まれの作家、哲学者、理論宗教学者、佐々木中(あたる)さんの小説。タイトルの「らんる」が「襤褸」のことなら、「ぼろぼろの衣服をひきずる」というほどの意味でしょうか。 帯にある「災厄の日か…

150 「高校、大学時代に国語の授業と読書をさぼった者の五十の手習い」

「高校生のための近代文学エッセンス ちくま小説選」(筑摩書房、2013年) ぼくは子どものころ、あまり本を読みませんでした。それでも、小学校のころは、本が読めなかった記憶はありません。多読ではなかったけれども、読んで読めないことはなかったのです…