2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

452 「リアル、のち、少しだけ、手の届きそうな奇跡」 「どんまい」(重松清、講談社、2018年)

重松清の小説は、どこか、あたたかい。救いがある。しかし、空想小説ではない。現実の厳しさを作家はかなり知っている。それをリアルに描いている。けれども、それだけではない。やさしさがある。 離婚、親の離婚、単身赴任、親の介護、スポーツの挫折、家族…

451 「悲と無、内村による福音」  「内村鑑三 悲しみの使徒」(若松英輔、岩波新書、2018年)

悲しみとはなんだろうか。慈悲という言葉があるように、悲しみには慈しみという意味がある。悲母とは、愛に満ちた母のことだ。悲しみと慈しみというふたつの意味があるのではない。人への慈しみがなければ、その人とのかかわりの中で悲しみは生じない。その…

450 「政権を変えるには、人々を貧困から救うまじめな経済政策を」 「終わらない『失われた20年』」(北田暁大、筑摩選書、2018年)

この本を読んでわかったこと。1)若者が「保守」化して「維新」や「自民」を支持するなどと思ってきたが、若者にとっては、自分たちを経済的困窮に陥れる社会を変えてくれるような政策を示す両党などが革新であり、それを示せない野党は保守と見なされてい…