2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

577 「ヴェーバーと著者の生涯と学問」・・・「マックス・ヴェーバーの生涯と学問―神からの使命に生きて」(黒川知文、2021年、ヨベル)

不思議な本です。第一章では、著者とヴェーバーとの出会いが(著者の言葉によれば)「小説の形式」で書かれています。巻末の資料集には「『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の内容分析」と題された横書きの(資料集以外は縦書き)読書ノートの…

576 「神に心を委ねる」 ・・・「傷は希望へのしるし: 苦しみを喜びに変えるための8つのステップ」(平林冬樹、2021年、ドン・ボスコ社)

イエズス会の神父さまがロヨラの「霊操」の手法を取り入れてお書きになった黙想の手引きの本ということで、読んでみようと思いました。 黙想においては、「神から徹底的に愛されている実感」「神からの呼びかけ」「何かから解き放たれた実感」「こころの中に…

575 「悲しみから喜びへ、悲しみと喜びへ」・・・ 「悲しみとともにどう生きるか」(柳田邦男、若松英輔、平野啓一郎他著、2020年、集英社新書)

四人の家族を一度に失った人がいました。その人は、それからはそれ以前にもまして、悲しみを考えるようになりました。自分の悲しみを軸としながら、人間の悲しみを深めるようになりました。悲しみの友もできました。本書の著者たちもそうです。 柳田邦男さん…

574 「キリスト教教義の源は聖書とギリシャ哲学」・・・ 「キリスト教思想史の諸時代〈1〉ヨーロッパ精神の源流」(金子晴勇、ヨベル新書、 2020年)

全7巻予定の1巻目です。これと2巻目を見る限り、このシリーズはまったくの書下ろしではなく、著者がこれまでに書いたり何かの本に収められていたりする20頁くらいの小文数編を書き直したものに、いくつかの書下ろしを加えたものです。したがって、章と章の流…

573 「倚りかからないために」・・・「清冽 詩人茨木のり子の肖像」(後藤正治、中公文庫、2014年)

573 「倚りかからないために」 「清冽 詩人茨木のり子の肖像」(後藤正治、中公文庫、2014年) 「もはや/できあいの思想には倚りかかりたくない・・・倚りかかるとすれば/それは/椅子の背もたれだけ」 十年以上前でしょうか。「倚りかからず」と題された…

572 「いつかきっと、今この時を」・・・ 「NHKこころの時代~宗教・人生~ それでも生きる 旧約聖書『コヘレトの言葉』」(小友聡、NHK出版、2020年4月)

「空の空。すべては空」、あるいは、「なんという空しさ、すべては空しい」。「コヘレトの言葉」と呼ばれる旧約聖書の一書物は、この句で有名ですが、小友さんは、「空」「空しさ」は「束の間」と訳すことができると言います。そして、人生は束の間であると…