2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

571 「あわいの愛」 ・・・ 「『利他』とは何か」(若松英輔、中島岳志、國分功一郎他著、集英社新書、2021年)

「理系」の大学、東京工業大学に、「利他プロジェクト」という「文系」の研究グループがあるそうです。本著は、そこに属する五人の、一般読者向けの論考エッセイが収められています。ちなみに、東工大の文系教員は昔から読み応えのあるものを書いているよう…

570 「韓国を目的語ではなく主語に」・・・「隣の国のことばですもの 茨木のり子と韓国」(金智英、筑摩書房、2020年)

570 「韓国を目的語ではなく主語に」 「隣の国のことばですもの 茨木のり子と韓国」(金智英、筑摩書房、2020年) 本書の副題にあるように、ぼく個人にとっても、茨木のり子と韓国は密接につながっています。 「自分の感受性ぐらい/自分で守れ/ばかものよ…

569 「牧師に小説講義、は意味があるか」 ・・・「短編小説講義 増補版」(筒井康隆、岩波新書、2019年)

教会の牧師として、三十年間、毎週つまり一年に五十回、ニ十分弱のお話をしてきました。その原稿として、三十年間、毎週三千字ほどの原稿を書いてきました。 けれども、文章は一向に上達せず、多くの人に読まれる名文なども書いたことはありません。ブログな…

568 「学歴主義を変えるには」・・・「社会学とは何か 意味世界への探求」(盛山和夫、2011年、ミネルヴァ書房)

日本ではなぜ「学歴に価値がある」とされるのでしょうか。それは「学歴に価値がある」と思っている人が多いからです。かりに、学歴に価値はないと思っている人が多い社会があるとすれば、そこでは学歴には価値はあるとはされません。つまり、「学歴に価値が…

567 「聞いて良かった旧約の意外な点」・・・「今さら聞けない!?キリスト教 旧約聖書編 」(勝村弘也、教文館、2020年)

タイトルからはキリスト教の常識や入門知識が書かれているように思われますが、じっさいに読んでみますと、キリスト教に触れて何十年も経った者でも、「あ!そういう考えもあるのだ」と思わせられることがいくつも出てきます。 創世記12章3節には「地上の氏…

566 「この悪と苦が消え去る日が、すぐに、あるいは、しばらくすると、かならずやって来る」・・・「ヨハネの黙示録を読もう」(村上伸、日本キリスト教団出版局、2014年)

ヨハネの黙示録などはめったに読みません。 「見よ、神の幕屋が人の間にあって、神が人と共に住み、人は神の民となる。神は自ら人と共にいて、その神となり、彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない…

565「社会学者の宗教への関心」・・・「退屈させずに世界を説明する方法――バーガー社会学的自伝」(ピーター・バーガー著、新曜社、2015年)

565「社会学者の宗教への関心」 「退屈させずに世界を説明する方法――バーガー社会学的自伝」(ピーター・バーガー著、新曜社、2015年) バーガーは「笑う社会学」を目指すと言います。どういうことでしょうか。「滑稽は人間の現実を鮮やかに照らし出すことが…