2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

663   「この人を見よ、この人のように死にたい」 ・・・「死刑囚 島秋人 ―― 獄窓の歌人の生と死」(海原卓、日本経済評論社、2006年)

島さんには人に褒められた記憶がほとんどなかったと言います。しかし、中学生の時、吉田先生から「絵は下手だけど、構図がおもしろい」と褒められたのです。 獄中でそれを思い出し、先生に手紙を書きます。すると、先生が返事をくれたのです。それには、先生…

662 「浄土真宗とキリスト教は親戚かもしれません」 ・・・「なぜ?からはじまる歎異抄」(武田定光、真宗新書、2016年)

武田定光さんは浄土真宗の住職であり、ぼくはプロテスタントの牧師ですが、武田さんはぼくがもっとも共感できる宗教者のひとりです。 安易に「まったく同じ」などと言うつもりはありませんが、この本に出てくる宗教思想には、プロテスタントの信仰とかなり強…

661   「お年寄りの目から見た介護」 ・・・「最後の椅子」(齋藤恵美子、思潮社、2005年)

お年寄りと介護する人の毎日から生れた詩の数々。 「車椅子の、目線のひくさにももう慣れた」 車椅子を押す人、横に立っている人の目線は高く、車椅子に乘っている人を見下ろしてしまっているのですね。 「糊ですね、どう眺めても、食事というより糊ですね …