2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

誤読ノート481 「キリスト教を呑み込んだメキシコ先住民宗教」・・・「グアダルーペの聖母」(鶴見俊輔、筑摩書房、1976年)

メキシコ人の中には、さまざまな抵抗精神が見られる。 たとえば、メキシコの新聞などはアメリカ合州国批判を盛んにするが、鶴見によれば、それは、メキシコ政府批判の隠れ蓑らしい。 たとえば、メキシコは亡命者を受け入れる。その背景には、メキシコの人び…

誤読ノート480 「不幸中の幸い」・・・「NHK「100分de名著」ブックス 石牟礼道子 苦界浄土~悲しみのなかの真実」(若松英輔、NHK出版、2019年)

昨日だったか、朝日の朝刊で、鷲田清一さんが尹東柱の「悲しむ者はさいわいである。だから、僕は永遠に悲しむのだろう」という言葉を紹介していた。前半は無論、マタイによる福音書でイエスに帰せられている有名句だ。 ぼくはぼくで、ルカによる福音書の、イ…

479「先生になるには」・・・・・「せんせい。」(重松清、新潮文庫、2011年)

「泣くな赤鬼」という先生モノの映画を観たら、この短編集に原作が収められていると知り、手に取ってみました。タイトル通り、先生が出てくるお話しばかり。 「学校の先生って、生徒をほめてあげることが仕事だと思うけど」(p.218)。 ぼくも、時々先生をして…

478 「ぴーひょろろ」・・・・「とんび」(重松清、角川文庫、2011年)

母に早く死なれ、父に去られた男が、ご近所さんや坊さんに育てられ、やがて、結婚。男の子が生まれる。けれども、妻も早くに死んでしまう。 そんな男の子育て物語。というか、父親になっていく物語かもしれない。NHKと民放でテレビドラマ化され、それぞれ、…