2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

179 「不幸ではない。幸せと幸せの谷間にいるだけ」

「お父さんの手紙」(イレーネ・ディーシェ著、赤坂桃子訳、新教出版社) 新教出版社を代表する一作になるかも。 ハンガリーの田舎町にドイツから遊びに来た、そばかす、赤毛のダリア。 たちまち恋に落ちたラズロ。 最初のデートで宿ったのがペーター。 けれ…

178 「原発事故のことだけじゃない、福島県いわき市の高校3年生の気持ち」

「いわき総合高校 演劇部 『あひる月13』の脚本」(原案:いわき総合高校演劇部、構成・脚本:いしいみちこ、東京公演のラウンジで購入、欲しい方はいわき総合高校に問いあわてみてください) 俳優も、登場人物も、高校3年生中心。2011年3月は中学卒業を控え…

誤読ノート177 「他の人を愛する倫理をわかりやすく紹介してきた哲学者が、イエスと聖書とキリスト教と世界をゆたかに掘り下げてくれた」

「人生と信仰についての覚え書き」(岩田靖夫著、女子パウロ会発行、2013年) 目白・椿山荘正面玄関前の東京カテドラル聖マリア大聖堂。敷地に入ってすぐ左にある小さな書店で、この本を見つけ、すぐに買うことにしました。それだけではものたりず、どなたか…

176 「癒されることはない、しかし、歩み、育っていく」

「優しいあかりにつつまれて」(著者:たかいちづ、たけざわさおり イラスト:ひらたゆうこ、ひらたひさこ、2014年) 悲しみから癒されたい、この人が苦しみから癒されてほしい。ぼくたちは、すぐに癒しを求めてしまう。人が、すぐに、癒されることを望んで…

175 「言葉で教えることから、イメージをわかちあうことへ」

「セラピスト」(最相葉月、新潮社、2014年) 読みながら、心がなごむページがたくさんありました。というのは、日本を代表するセラピスト、木村晴子さん、河合隼雄さんらが、クライアントや著者と向き合っているときの生の声が聞こえてくるからです。とくに…

174 「百年足らずの人生 それを包み込む大きな枠」

映画「ツリー・オブ・ライフ」(テレンス・マリック監督、ブラッド・ピット、2011年)ブラッド・ピットは父の嫌らしさと不器用さを、 ジェシカ・チャステインは母の美しさと奔放さと苦悩を、子役たちは少年の喜怒哀楽を、巧みというよりも、自然に、しかし深…

173 「文学は、筋や表現、読書中の喜怒哀楽を楽しむだけでなく、読後にその意味を考えつくと得した気分」

「教養として読む現代文学」(石原千秋、朝日選書、2013年) 小説や論説文、エッセイなど、文と呼ばれるものには、たったひとつの正しい解釈があるのでしょうか。ぼくは、聖書の解釈、というか、聖書のテキストをネタにしたお話をすることを生業としています…

172 「積読山の崩落防止にも役立つ一冊。面白い本を紹介してくれるこの本が、もう、面白い本」

「面白い本」(成毛眞、岩波新書、2013年) 百冊の面白い本が紹介されていますが、それを読まなくても、この本自身がもうすでに面白い本です。 まず、この本で紹介されている百冊の本が伝える事実や出来事がとても面白い。 つぎに、その事実を書き表したそれ…