2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

633 「詩人の魂の源泉と飛翔」・・・「みすゞと雅輔」(松本侑子、2020年、新潮文庫)

みすゞは山口県は仙崎の、そして、雅輔(がすけ)は下関の本屋の子どもでした。下関は仙崎の本店にあたります。雅輔はみすゞの弟でした。けれども、下関の本屋夫婦には子がなく、仙崎のみすゞの父は死に家計は苦しく、雅輔は物心つく前に養子に行ったのです…

632    「コロナ前に戻るのではなく、コロナ前とは違う社会へ」 ・・・「ユダよ、帰れ コロナの時代に聖書を読む」(奥田知志、新教出版社、2021年)

「『キリスト教徒にならないと救われない』という教えはいかにも『スケールが小さい』。この教会は、そういう差別的な宣教理解は卒業しました」(p.51)。 「『信じる者は救われる』と言います。はたしてそうでしょうか。『信じられない、認められない、分から…

631    「キリスト教は二千年の旅びと」 ・・・ 「キリスト教の核心をよむ (教養・文化シリーズ NHK出版 学びのきほん)」(山本芳久、NHK出版、2021年)

「学びのきほん」とありますが、初心者向けの入門知識が羅列されているのではありません。本書は、おそらくは、すでにキリスト教に親しんでいる人にも、「核心」を、しかも、あたらしい角度から語りかけてくれることでしょう。 たとえば 「アブラハムは一な…

630    「みすゞとYouTubeとキャロライン洋子」 ・・・ 「NHK100分de名著 金子みすゞ詩集 2022年1月」(松本侑子、NHK出版、2022年)

みすゞは雑誌に童謡詩を投稿し、よく掲載されていました。「今なら、You Tubeで自作の詩や歌を披露して若者の人気を集まるアーティストにたとえることもできましょう」(p.13)と著者は言います。 しかし、それ以上は進まなかったようです。詩集出版にはいたら…

629   「自分はダメだと思わない勇気」・・・「生きる勇気」(パウル・ティリッヒ、平凡社ライブラリー、1995年)

629 「自分はダメだと思わない勇気」 「生きる勇気」(パウル・ティリッヒ、平凡社ライブラリー、1995年) 「生きる勇気」は「存在への勇気」とも訳されます。「存在」とは「ある」「いる」という意味ですが、人間の場合は「生きる」といってもいいでしょう。…

628「ボクは不良神学生だった!」・・・「ボクたちは軍国少年だった! 平和を希求する、ふたりの自伝」(深田未来生、木村利人、キリスト新聞社、2022年)

深田未来生さんは同志社大学神学部の教員であり、ぼくは学生でした。授業は一コマしかとったことがなく、個人的にとくに親しいわけでもありませんでした。 覚えていることは限られています。 神学部の建物のたしか4階に教員研究室が並んでいて、先輩に誘われ…

627  「すべてのキリスト教の教理を忘れてください、と言う説教」・・・「地の基は震え動く」(パウル・ティリッヒ、新教出版社、2010年)

「人は皆、罪人です」などと言われたら、「いや、わたしは、悪いことなんかしていない」と思う人が大多数なのではないでしょうか。「神がどうの」などと言われたら、「いや、神なんているわけない」と思う人がほとんどなのではないでしょうか。 けれども、「…

626   「偏狭宣教師を越えて」・・・ 「教会教を越えて ハウレット宣教師が北海道で見つけたもの」(フロイド・ハウレット著、大倉一郎訳、2021年)

宣教師とは何でしょうか。ある宣教師は、アメリカのキリスト教を日本に教えようとしました。そういう考えは古いと宣教師仲間に批判されたにも関わらず、自分は何と言われようとそうすると。ちなみに、この宣教師は、教会は精神科の代わりではない、と言って…