2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

113  「井上ひさしとその仲間たち」

「総特集 井上ひさし やわらかく、ときに劇的に」(KAWADE夢ムック、2013年)1)大江、丸谷らとの鼎談を読みながら、井上ひさしさんもノーベル賞並みの仕事を残していると思いました。2)小沢昭一との対談「歌舞伎あれこれ」で、井上さんが今の歌舞伎を評…

112 「ある科学者の宗教性」

「イエス・キリストの生涯の要約」(パスカル、2013年、新教出版社) パスカルは17世紀フランスの数学者、物理学者にして、哲学者、神学者。 その彼が、イエス・キリストの生涯を一冊の書にまとめていた。 というのは、イエスの生涯、というより、生まれた時…

111 「グル宗教すれすれの思想?」

「最高の人生をつくる授業」(辻信一、2013年、講談社) 内容は、日本からの大学生が辻さんと一緒にイギリスに短期滞在し、サティシュ・クマールというインド出身の思想家と出会い、対話をし、大きな刺激を受けるというもの。 十年くらいまえに辻さんの「ス…

110 「四十年間、井上ひさしを読み、観てきた記録」

「井上ひさしの劇世界」(扇田昭彦、2012年、国書刊行会) 最初は朝日新聞学芸部記者として、四十年前から、井上ひさしの劇を観つづけ、台本や小説を読み続けてきた演劇評論家、扇田さんが、新聞、雑誌、文庫本巻末などに、書き重ねてきた劇評、書評、井上ひ…

109 「この世は神がご自身を表す場、人はそれに感謝をささげる存在」

「世のいのちのために 正教会のサクラメントと信仰」(アレクサンドル・シュメーマン、2003年、新教出版社) 著者によれば、次のような考え方はキリスト教的ではありません。・・・この世は物質からできているから、霊的な世界、神の国に劣る・・・ ・・・こ…

108 「絶望に魂を埋め立てられてしまわないために」

「死者と生者のラスト・サパー 死者を記憶するということ」(山形孝夫、2012年、河出書房新社) 学問と、その背景にある、人生の歩みと精神の旅が、これほど詩的に絡み合い、読む者の心をこれほど酔わせる書を、ぼくはほかにあまり知らない。酔いゆえか、す…