2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

30 「長編小説は愛を描く」

「取り返しのつかないものを、取り返すために 大震災と井上ひさし」(岩波ブックレット) ぼくは井上ひさしの本はほとんど読んでいますが、大江健三郎の本はほとんど読んだことがありません。ヒロシマノートの一部をどこかで読んだかもしれない。大江光さん…

(5)

「十字架のことば」1:18十字架のことばは、滅びに至る人々には愚かであっても、救いを受ける私たちには、神の力です。 「十字架のことば」とは、神の子がわたしたちのために十字架についてくださったということです。けれども、ふつうはそのようには考えませ…

(4)私の物語としての聖書

(3)で述べた「信じる」の持つ排他性、強弁を克服するためには、聖書を物語として読むことが良いと思う。しかし、聖書は、私を包み込む「大きな物語」であるばかりでなく、いや、それ以上に、私自身の物語ではなかろうか。端的に言って、預言者たちやイエ…

(4)1:13-17 「キリストが分割されたのですか」

1:13キリストが分割されたのですか。あなたがたのために十字架につけられたのはパウロでしょうか。あなたがたがバプテスマを受けたのはパウロの名によるのでしょうか。 「私はパウロに」「アポロに」「私はキリストにつく」(1:12)と争う人々に、パウロは「…

(3)「信じる」とは何か、聖書は「信じる」対象なのか

ペルー人教会では、時々、日本人のために祈りがなされる。その中には、「まだ、神を知らない日本人に神を知らせてください」という項目が含まれていた。スペイン語や外国人との連帯に関心のある若い日本人会衆に対しても、いつかは、神様を知って、amigos 友…

(3)1:10-12「みなが一致して」

1:10さて、兄弟たち。私は、私たちの主イエス・キリストの御名によって、あなたがたにお願いします。どうか、みなが一致して、仲間割れすることなく、同じ心、同じ判断を完全に保ってください。 「みなが一致して」、これは単なる願望ではなく、「主イエス・…

29 「キリストは星の王子さまのよう」

「星の王子さま」(サンテグジュペリ、池澤夏樹・新訳) 「星の王子さま」(サン=テグジュペリ、稲垣直樹訳) 「星の王子さま」(サン=テグジュペリ、河野万里子訳) 「星の王子さま」(ジョアン・スファール、池澤夏樹訳、サン=テグジュペリ原作のコミッ…

28 「イエスを源としつつ、イエスを商品にしない」

「福祉・介護におけるスピリチュアル・ケア」(深谷美枝、柴田実) まず、スピリチュアル・ケアとはどういうケアなのでしょうか。つぎの言葉がわかりやすかったです。 「クライエントの不定愁訴やうつという症状は、客観的な精神医学的・心理学的次元での捉え…

27 「すでに救われているのか、さあ、これからか」

「福音と世界 2011・10 特集=ラインホールド・ニーバー没後40年」 ニーバーは1914年生まれのアメリカの神学者ですが、ぼくは一冊も読んだことはありません。 けれども、「神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたま…

(2) 私の背景:ペルー、ペルー人教会、教団移籍、「第三世界神学事典」

次に、私の考え方の背景となるいくつかの事柄について述べておきたい。 私はキリスト教徒の家庭に生まれ育った。しかし、それは、信仰という精神作用を継承したということではない。むしろ、日本におけるキリスト教徒という文化という枠組の中に、とりあえず…

(2)

1:4-9 「どんな賜物にも」1:7その結果、あなたがたはどんな賜物にも欠けるところがなく、また、熱心に私たちの主イエス・キリストの現われを待っています。 「どんな賜物」、これは、富や才能、健康をみなが等しく手にしているということではありません。む…

(1)

(1) 1:1-3 「聖徒として召され」1:2 コリントにある神の教会へ。すなわち、私たちの主イエス・キリストの御名を、至る所で呼び求めているすべての人々とともに、聖徒として召され、キリスト・イエスにあって聖なるものとされた方々へ。 パウロはコリント…

(1) 20世紀の遺産は崩壊したか?

2001年9月11日にニューヨーク等で起こった「アメリカ同時多発テロ」、そして、ブッシュ大統領、アメリカ政府、また、マスコミが伝えるアメリカ市民の声、すなわち、「テロリストに対して正義の報復を、正義によるテロの根絶を」、この両者の衝撃は強く、また…

18 「救いは法外」 

神の国とは、たとえば、このようなものかも知れません。ある人に三人の子どもがいました。最初の子どもは歯医者さんになる大学に入りました。父は歯科医になるなら安心だと満足しました。ところが六年目の四月、突如失踪し、なんとか帰ってきたかと思うと、…

26 「相手の苦しさ、無力感を、自分とはちがうその人の感じ方として受け取る」

「カウンセラーの〈こころ〉」 佐治守夫 ぼくは人の話や気持ちを理解することが苦手です。話を聞いていても、自然には理解できず、理解するには集中が必要ですが、その集中力もすぐ途切れて、何の話かわからなくなり、筋や訴えをわかろうとする誠実さを投げ…