2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

342 「九条と国際連盟が世界を変革する」「『世界史の構造』を読む」(柄谷行人、インスクリプト、2011年)

ぼくのような凡人には、マルクスやカントがどういう考えを持っていたか、読んだり、論じたりすることも難しいのですが、柄谷行人(からたに こうじん)さんは、マルクスを乗りこえ、カントに導かれて、世界革命を構想されるのですから、驚くべき天才です。も…

(29)「自分の外に根ざした言葉」

「借り物ではなく、自分の言葉で語ろう」などとよく言います。たしかに、本当にそうかなと考えもせずに、さいきん聞きかじったもっともらしい言葉を鵜呑みにして、ぺらぺらとしゃべってしまうのはどうかなと思います。 けれども、言葉は聞いたり読んだりして…

32 「勝利が降り立ち、鳴り響く」

ふもとに民を立たせよ わたしを民に知らせるために 山は煙に包まれよ わたしは炎とともに いただきに降り立つ 山は激しく震えよ 角笛は鳴り響け わたしは雷鳴で答えよう これこそがわたしの勝利 あなたたちの勝利 わたしはけっして負けない あなたたちもけっ…

341  「微積の概念と公式、応用問題を丁寧に説明」 「高校生が感動した微分・積分の授業」(山本俊郎、PHP新書、2015年)

高校3年時は理系クラスに属し、一浪して、そんなに難しくもないがそんなにも易しくもない理系の大学に入りました。けれども、じつは、すでに、数?の行列あたりからわからなくなり、数?はチンプンカンプンでした。それでも、数?だけできて、共通一次重視の入…

(28)「なにか生き生きとしたもので、心や体が満たされたいものですね」

今日は何もする気が起こらない、一日中、家でごろごろしていたい、という日があります。体を動かすのが大変だ、いや、それどころか、どうしても体が動かない、という時があります。気持ちがしっかりしない、やる気が出てこない、気持ちが重くて仕方がないこ…

31  「殺さず、盗まず、戦わず、偽らない民となりなさい」

人びとにこう語りなさい あなたの同胞に告げなさい わたしが抑圧者を引きずり下ろしたことを あなたたちは見たはずだと わたしの翼にあなたたちを乗せて飛んだことを あなたたちは忘れないはずだと わたしはあなたたちに いのちの憲法を授ける あなたたちは…

340  「読者なき書き手、聴者なき語り手の心臓を慰める言葉」 「往復書簡 悲しみが言葉をつむぐとき」(若松英輔、和合亮一、岩波文庫、2015年)

ある人びとの言葉は本になりますが、多くの人びとの言葉は本棚になります。ちょうど、風に転がる紅や黄の落葉の下には、悲しみ色や沈黙色した枯葉の堆積があるように。ぼくらの言葉は、自分のパソコンの中に貯蓄され、ネット上の倉庫にも押し込まれ、ある言…

339  「不意打ちによって非常識な心に飛躍すれば詩が読めるかも」 「詩を読む人のために」(三好達治、岩波文庫、1991年)

ランボーやリルケの詩は読むのがとても難しい、とても苦労します。それは、意味を考えるからだ、意味を考えないでそのまま受け止めるとよい、という助言もいただきましたが、脳は既知の情報に照らし合わせて何とか意味をつかもうとしますから、意味が分から…

338  「花が愛おしい、そのわけ」  「殉教者」(加賀乙彦、講談社、2016年)

17世紀、徳川の世の初め。大荒れの航路、砂嵐の陸路。5年をかけ日本からローマに辿り着くも、そこで修道士となり、神父となるや、また7年の航海を経て、日本を目指したペトロ岐部カスイ。 キリシタン禁令ゆえにやがて捕まり死刑にされることが分かっているの…

(27)「わたしたちとつながり、生かしてくれる、目に見えないたいせつなもの」

「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない」。星の王子さまの有名な言葉です。「ドブネズミみたいに美しくなりたい 写真には映らない美しさがあるから」。ザ・ブルーハーツというバンドが30年近く前に歌った「リ…

30 「その岩を打て、清水がほとばしる」

飲み水がない 喉がからからだ こんなところに連れ出して おれたちを殺す気か こんなことなら 昔のままがずっとよかった そうだろうとも では、昔を取りもどしてやろう あの帝国に連れ帰ってやろう あそこなら飢えることも 渇くこともない おれに付いてこい …

337  「語り切れない悲しみを語り、言葉にできない喜びを書く」

「そして(ジュニア・ポエム双書、谷川俊太郎・自選詩集」(谷川俊太郎、銀の鈴社、2016年)詩人は、見えない世界を書いている、天使の声を聞きとっている、とどこかで耳にしたことがあります。谷川さんは「かみさまなんていないんだから」と言いますが、「…

(26)「一緒にいてくれる人がいるから、恐れることはありません」

「おまえたちを連れて行ってやれなくて、すまなかった」。監督先生は、後日、生徒たちにこう謝りました。中学校生活最後のサッカー大会。都大会出場権をかけた11試合目に敗北したのです。試合の直後には、「力をすべて出し切ったね」ともねぎらっていたそう…

(29)「自分の外に根ざした言葉」

「借り物ではなく、自分の言葉で語ろう」などとよく言います。たしかに、本当にそうかなと考えもせずに、さいきん聞きかじったもっともらしい言葉を鵜呑みにして、ぺらぺらとしゃべってしまうのはどうかなと思います。 けれども、言葉は聞いたり読んだりして…