2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

336  「頭がよく、祈り、かつての考えを翻すことのできるシスター」

「心を灯すマッチのように」(高野澄子、KADOKAWA、2014年) 東京純心女子学園の理事長であるシスター高野が、創立者であり、日本のマザー・テレサとも呼ばれたシスター江角ヤスの言動を想い起こして、まとめた一冊。 日本のカトリック女学校は、このような…

(25) 「人格は別々でも、あるこころざしではひとつになることがあります」

父親は、足は遅く、持久力も筋力もないのに、子どもたちは、百メートルでも、1500メートルでも、クラスで片手に入るくらいの運動能力に恵まれています。父親は、部活を続けたことなどないのに、子どもたちは、入学時から最終学年まで、やり抜いています。い…

(24) 「言葉には、その通りになるかならないかを超えた力があります」

「守ってあげられなくてごめんと胸の中で語りかけた。事件を起こさせない仕組みを政治が作れなかった。二度と事件を起こさせないため、私が先頭に立ってがんばる」。これは元米兵に殺された二十歳の沖縄女性に花を手向けた翁長県知事の言葉です。 この言葉に…

(23) 「自分で種を播いたわけではないが、畑はもう実っている」

わたしたちは、自分に必要なものはみな自分で手に入れる、自分が持っているものはみな自分で獲得した、と思っているかも知れませんが、ほんとうにそうなのでしょうか。たしかに、着るもの、食べたり飲んだりするもの、住むところ、本、CD、電気製品、家具、P…

335  「猫にも人にもやさしい川柳集」

「日なた猫の近江百景 1/0380000」(2016年)友人のおつれあいの川柳集です。 「過労死と職に就けない人といて」「ファミレスで働く主婦とだべる主婦」「クーラーをかけても開けとく猫の幅」猫にも人にも心を配った川柳です。 「くす玉は割れない方…

334  「最高、感動、深淵の文学。少女が天使になり、ときが永遠になるまでの、ながいながい渡り鳥のお話」 「ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語」(津島佑子、集英社、2016年)

ハポ(かあちゃん)はアイヌの地の旅籠の納屋でおらを産んで、チカップと名付けてくれました。父はニホン人のようですが、誰だかわかりません。じつはほかのこともほとんどわかりません。だけど、ジュリアン兄しゃまがほんのすこしだけ誰かから聞いたことを…

333  「流刑の国民詩人」 「プーシキン詩集」(金子幸彦訳、岩波文庫、1953年)

「しずかに 詩人は いきを 引き取った」19世紀のロシアの国民詩人、プーシキンは、決闘による重傷で息を引き取った、とこの本の解説は伝えています。けれども、それは、けっして詩人が血気盛んだったことを意味しません。それは、むしろ、皇帝から迫害された…

(22) 「枯れても枯れてもまた潤してくれる泉」

春から夏にかけて、庭は放っておけば、雑草だらけになってしまいます。抜いても抜いても、また生えてきます。秋になり冬になり、すっかり枯れてしまったと思っても、春が来れば、また緑を濃くし始めます。庭の土には、草を次から次に芽生えさせる生命力があ…