2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

198 「沖縄生まれ、生真面目に不真面目な貧乏詩人の詩と、倚りかからない詩人による評伝」

「貘さんがゆく」(茨木のり子、1999年、童話屋) 貘さんこと、詩人、山之口貘。 日本土着の詩は、貘さんから始まった、とは金子光晴。 「人間が生きてゆく、平凡で、だらけた人生の折り折りを愛してつかみとってくる魅力的な詩作方法」(p.81)とは、評伝の著…

197 「神さまが種を蒔かれる意外なところとは」

「天の国の種 マタイによる福音書を歩いて」(バーバラ・ブラウン・テイラー、2014年、キリスト新聞社) アガペーとインマヌエル。アガペーとは誰にでも無条件に贈られる神さまの愛。インマヌエルとは、神さまが一緒にいてくださること。これは、ぼくのブロ…

196 「あなたの嘆きが喜びに変わるとき。旧約詩人に学ぶ」

「旧約聖書に見るユーモアとアイロニー」(月本昭男、2014年、教文館) 詩編を読んでいると、最初は敵や神さえも呪うまでに自分の苦境を嘆いていた詩人が、とつじょ、神に感謝し、ほめたたえ始める、という場面にしばしば出くわします。いったい何が詩人に起…

195 「被災地の『刺激』に『ハマ』り、写真を盗り、声を盗る」

「境界の町で」(岡映里、2014年、リトルモア) 三十代の女性編集者。3・11からの3年間。2011年4月10日。彼女は福島県郡山市に到着した。 そこで、出会ったのは、原発労働者派遣業の元ヤクザ。その「お父さん」の町会議員。若い原発労働者たち。4歳年下のOL…

194 「讃美歌の本当の意味」

「嵐の中の教会 ヒトラーと戦った教会の物語」(ブルーダー著、森平太訳、1989年、新教出版社) 讃美歌は何のために歌うのでしょうか。信仰的な雰囲気、昂揚感、あるいは、敬虔さに浸るためでしょうか。聖書の物語やメッセージをコンパクトにおさらいするた…

193 「いつの日にか 帰らん」

「希望をもらえる 日本の言葉 日本の歌が伝える53のメッセージ」(株式会社ヤマハミュージックメディア編、2012年) ぼくも、人生の折り返し地点はかなり過ぎ、天国の神さまのもとに帰る日も、以前ほどは遠くありません。 「こころざしを 果たして、いつの日…

192 「何のために生きているのかと悩む人に寄り添うために」

「1000人の患者を看取った医師が実践している 傾聴力」(大津秀一、2013年、大和書房) 著者は三十代、そして、このタイトルだけれども、中身はすばらしい。自分の存在が揺らぎ苦しんでいる人々を支えること、そのための傾聴、そして、その結果としてその人…

191 「ともにいるうえに、救いの約束を果たしてくださる神」

「聖書は語りかける」(W. ブルッゲマン著、左近豊訳、2011年、日本キリスト教団出版局) 聖書とは、神が民を支え、導き、救ってきた道のりの膨大な記憶であり、その記憶に基づいた希望、これからも神はわたしたちに同じことをなしてくださり、現在の抑圧や…