2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

416 「権力といじめの傾向と対策いやヴィジョン」  「いじめのある世界に生きる君たちへ―いじめられっ子だった精神科医の贈る言葉」(中井久夫、中央公論社、2016年)

いじめは、力のある者が力のない者を虐げること、動けなくすることです。権力者による虐待、抹殺です。ですから、この本に書かれていることは、いじめをはじめ、女性差別など、あらゆる抑圧にあてはまります。この本は、その残酷さとそれに立ち向かう糸口が…

79  「預言者は神の正義を語る」

わたしは預言者を立てる わたしの言葉を語るなら わたしの正義と平和と愛を語るなら その人は預言者だ あなたたちはその人に聞け わたしは預言者の口に わたしの言葉を授ける 預言者は自分の言葉ではなく わたしの言葉を語る あなたたちはその人に聞き従え …

誤読ノート415 「まず神の愛、そして人間の賛美歌」 「ルターと

誤読ノート415 「まず神の愛、そして人間の賛美歌」 「ルターと賛美歌」(徳善義和、日本キリスト教団出版局、2017年) キリスト教の信仰にもいろいろなタイプがありますが、ぼくの場合は、「神に生かされ、愛され、ともにいていただくのにふさわしい人徳も…

414 「言葉は深呼吸をしてから発しましょう」 「詩と出会う 詩と生きる」(若松英輔、NHK出版、2017年)

詩とは何でしょうか。この本は、数多くの詩人や詩をとりあげながら、地下水をさがすかのように、この問いを掘り下げていきます。 「自分のなかに言葉になり得ない、しかし、見過ごすことができない何かが宿るとき人は、内なる詩人をよみがえらせる」(p.11)。…

413 「いま隣にいる人を好きでいられる幸せ」 「幼な子われらに生まれ」(重松清著、幻冬舎文庫、1999年)

重松清さんの本はいくつか読んできましたが、この作品のように初期に属するものは、今回、はじめてでした。心理描写にも文体にも、磨き切れていないものを感じましたが、このざらざらこそが、ぼくたちの生を忠実に写そうとする筆致のようにも思いました。 あ…

412 「神を受け取るハートとは」   「アウグスティヌス 『心』の哲学者」(出村和彦著、岩波新書、2017年)

宗教改革者ルターの紋章の中心には、十字架がありますが、これはハートの輪郭に収められています。(「ルターの紋章」でネット検索すれば見つかります)。つまり、「心」で十字架を受け取る、ということでしょうか。 ルターはアウグスティヌス修道会の出身で…

78   「主は王たちのいとうべき習慣を斥けられる」

ここは主の与えてくださった土地 あなたたちはここで 王たちのいとうべき習慣を けっして見倣ってはならない 子どもたちを虐待してはならない 他国や他人をみだらに敵視してはならない ただ自分たちの利益のためだけの法や政策を いかにも民を守るものだと …

77  「生涯読み返し、民と神とを畏れることを学び、憲法に誠実に生きよ」

もしあなたたちが司を立てるのなら 神なるわたしの意をうかがう者にせよ 司を同胞だけに制限してはならない 司は軍備を増してはならない 民をあのところに連れ戻してはならない あなたたちは二度とあの道を戻ってはならない 司は心を迷わすな 仕えるつれあい…

411 「目に見えないものに、最初に気付いたルーシー」 「カスピアン王子」(C・S・ルイス著、土屋京子訳、光文社古典新訳文庫、2017年)

「アスランはときに風聞であり、その援助はきまぐれであり・・・(中略)・・・むしろ、彼の存在の放つなにかが・・・(中略)・・・道理や宗教的規範を超えた深い聖性を感じさせる」(p.341)と解説者は記しています。 けれども、それは、初め、一番年下のル…

410 「貧しくてひとりぼっち。でもそこに天国があります」

「マローンおばさん」(エリナー・ファージョン、こぐま社、1996年) 生きている間によいことをしたら天国に行ける、という考え方には、どうもなじめません。 マローンおばさんは貧しくひとりぼっちでしたが、生きているうちから、すでに天国に生きていたの…

409 「牧師が弁護士から学んだノイズの必要性」  「信仰・希望・愛」(宮原守男著、教文館、2017年)

弁護士にして、日本基督教団の教会の信徒、ロッキード事件の主任弁護人、教文館代表取締役会長である著者の、礼拝での話、中高生時代の話、若い弁護士へのレクチャーなどが載っています。 弁護士としての以下のような見解は、牧師として、あるいは、ひとりの…

408「役者八人の遺骨を抱いた演出家」 「戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と『桜隊』の悲劇」(堀川惠子著、講談社、2017年)

演出家とは何をする人なのだろうか。脚本には演劇の柱であるセリフや大まかな舞台設定ぐらいしか書いていない。舞台で上演するには、これを、台詞の読み方、表情、全身のふるまい、複数の役者の動きなどで、肉をつけ、皮を貼らなくてはならない。演出につい…

76 「正義のみを追求し、正義の実を結ばせよ」

奴隷を解放した神、 いのちの神だけを王として まつりごとを行いなさい 息子、娘、解放奴隷、 寄留者、孤児、寡婦らとともに 解放の神に仕える まつりごとを行いなさい すべての町に 正義の裁判人と正義の役人を置き 正義の裁きで 民に正義を約束せよ 裁きを…