2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

549 「社会はなかなか動かせないが、少しは動く」・・・「社会学への招待」(ピーター・バーガー、2017年、ちくま学芸文庫)

男性であり、父親であり、教師であり、牧師である人がいたとする。この人は、男性とはどのようなものなのか社会から学び、社会が期待するような男性になる、あるいは、なろうとする。 この人は、父親には子どもの養育の責任があると社会から学び、それに沿う…

548 「宗教は人間の主観だが、その核には主観でないものがある」・・・「聖なる天蓋 神聖世界の社会学」(ピーター・バーガー、2018年、ちくま学芸文庫)

「宗教は人間の自己外在化の極致」「宗教とは宇宙全体を人間的に意味ある存在として想念する大胆な試みなのである」(p.56)。 宗教だけでなく社会は人間が自分の外に創り出したもの、とバーガーの社会学では見なされます。人間は、自分の生み出す宗教によって…

547 「めがね、望遠鏡としての社会学」・・・社会学(新版)」(長谷川公一他、2019年、有斐閣)  

コロナウィルス感染が広まった世界や日本は、現在どのような社会なのだろうか。これを機に、(あるいは、これに影響されずに、あるいは、他の要因と相まって)、これからどのような社会になっていくのだろうか。あるいは、現在に至るまで、社会はどのように…

546 「自分が救われていれば、共通善は求めなくてよいのか」・・・「カトリシズムにおける人間」(三雲夏生、1994年、春秋社)

誤読ノート546 「自分が救われていれば、共通善は求めなくてよいのか」 「カトリシズムにおける人間」(三雲夏生、1994年、春秋社) 著者は、遠藤周作、ジョルジュ・ネラン神父らを友人に持つカトリック信徒であり、慶応文学部の教員を務めた。 ぼくは、この…

545 「苦しみに埋もれなかった聖書の無名の女性たち」・・・「ヒロインたちの聖書ものがたり キリスト教は女性をどう語ってきたか」(福嶋裕子、2020年、ヘウレーカ)  

聖書の女性と言えば、エバとマリアくらいしか、すぐには出てこないかもしれません。けれども、それ以外にも、じつはたくさんの女性が登場します。マリアという名の女性もイエスの母一人ではありません。 この本は、そうした聖書の女性たちの物語を、聖書の物…