2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧
「アンは、暁のように生き生きと星のように美しく、ギルバートを待ち受けていた」「その緑はアンの髪のゆたかな色や、星のような灰色の目や、アイリスのように美しい皮膚を引き立てていた。森の小道の木陰を歩きながらギルバートは横目でちらとアンを眺め、…
考えるとは、孤独な作業だ。試験の答案用紙に向かうとき、原稿用紙にペンを走らせるとき、頼りになるのは自分の思考だけだ。 けれども、本当にそうだろうか。問題を解くときは過去に触れた誰かの知識や情報を参考にしていないだろうか。文章を書くときはこれ…
聖書に現われる「共同性」と「終末意識」は、既存の政治への批判となる。「共同性」は「一人支配」を、「終末意識」は現政権の絶対化を批判する(p.2)。イエスは「『政治的なるもの』の本質それ自体を相対化している」(p.28)。 けれども、距離によって、キリ…
原民喜には「夏の花」という小説がある。原子爆弾が投下された広島を書いたものだ。本書は、その原の、梯による評伝だ。 「原は自分を、死者たちによって生かされている人間だと考えていた」(p.14)。 死者とは誰か。 「愛する死者をいわば“聖別”することを生…