2013-01-01から1年間の記事一覧
「もっと教会を行きやすくする本 『新来者』から日本のキリスト教界へ」(絵と文 八木谷涼子、キリスト新聞社、2013年) 「(もっと教会を)来やすくする本」という言い方のほうが自然に感じること自体が、ぼく自身がどっぷり教会の中にいる証拠でしょうね。…
「歴史観とキリスト教」(黒川知文著、新教出版社、2013年) 歴史って何?って訊かれたら、どう答えますか。そもそも、時間って何なのでしょうか。神さまが世界と同時に時間を創った? 世界は創ったけど、時間は創らなかった、なんてことが、理屈の上でもあ…
映画「キャプテン・フィリップス」(トム・ハンクス主演、ポール・グリーングラス監督、2013年) 「遠い夜明け」を思い出しました。前半はアパルトヘイトの残虐さ、そして、それと闘う人々を描く社会派映画ですが、後半の脱出物語は、ハラハラドキドキの娯楽…
映画「かぐや姫の物語」(高畑勲監督、2013年) 水彩画のような和風アニーション。 かぐや姫は、地球では、男どもの所有欲に悩まされつつも、凛と自分を保ち貫く。 月からの迎えの者は、そんな世界を「穢れたところ」と呼ぶが、姫は、「穢れたところなんかで…
テレビ番組「プレミアムドラマ 劇作家・井上ひさし 誕生の物語」(NHK BS、2013年12月15日放映) 北村有起哉と内山理名が、ひさしと好子夫婦を好演。 ひさしの暴力も、ある程度描いている。好子も打ち返している。 番組最後に西舘好子さんが語る映像もあるの…
「存在しない小説」(いとうせいこう、2013年、講談社) 3・11文学、と呼びたくなる小説がいくつか書かれてきました。池澤夏樹「双頭の船」、津島佑子「ヤマネコ・ドーム」、佐伯一麦「帰れぬ家」、重松清「きみの町で」、佐々木中「らんる曳く」、そして、…
映画「清須会議」(三谷幸喜監督、2013年) ぼくの所属する組織の全国代表会議では、「議長や役員選挙ではこの人に入れてください、この議案には賛成してください、この議案には反対してください」というアンチョコが議員の6割くらいにわたされ、彼らはすべて…
「福音の再発見―なぜ“救われた”人たちが教会を去ってしまうのか」(スコット・マクナイト著、中村佐知訳、キリスト新聞社、2013年) 教会に来る人が増えないかなあ、などという子どもの煩悩に囚われているぼくは、副題に釣られてしまいました。 しかし、中身…
講演「光は、ときに悲しみを伴う〜クリスマス・キャロルを読む〜」(若松英輔さん、2013年12月7日、「ミシュカの森 2013」として) 世田谷事件遺族の入江杏さんらによる「ミシュカの森」実行委員会の皆さんが、「魂にふれる 大震災と生きている死者」などの…
「らんる曳く」(佐々木中、河出書房新社、2013年) 73年生まれの作家、哲学者、理論宗教学者、佐々木中(あたる)さんの小説。タイトルの「らんる」が「襤褸」のことなら、「ぼろぼろの衣服をひきずる」というほどの意味でしょうか。 帯にある「災厄の日か…
「高校生のための近代文学エッセンス ちくま小説選」(筑摩書房、2013年) ぼくは子どものころ、あまり本を読みませんでした。それでも、小学校のころは、本が読めなかった記憶はありません。多読ではなかったけれども、読んで読めないことはなかったのです…
「終わりと始まり」(池澤夏樹著、朝日新聞社、2013年) 池澤夏樹さんを大統領にして、石牟礼道子とか落合恵子とか大江健三郎とか鶴見俊輔とかによる長老会議をおき、小熊英二とか村上春樹とか斎藤美奈子とか香山リカとかをブレーンにしたら、日本の政治はも…
「音楽力が高まる17の『なに?』 だれも教えてくれなかった音楽のヒミツ」(大嶋義実著、共同音楽出版社、2011年) じつは、ぼくは、ピアノと声楽を月に二度ずつ、先生から習っています。仕事やなんやで、半分くらい休講にしていただいてますけど。その先生が…
「時間について 100の言葉」(リーゼンフェルト編、時間について 100の言葉、2012年) 告白しますと、どなたかからいただいたこの本、トイレで読んでいました(^^;; 一頁に一つずつ、時間についての言葉が載っています。数語のものから、長くても十行。だから…
「今、いのちを守る (TOMOセレクト 3・11後を生きる)」(片岡輝美著、日本キリスト教団出版局、2012年) 以前から原発反対の考えを持っていた人は少なくないでしょうが、そういう人でも、3・11以後は、あの日福島県に住んでいた人々の声を聞かなければならな…
「せいなるよるのたからもの」(絵と文:クドウあや、新教出版社、2013年) 出生前検査を受けるには切実な事情があるのかも知れません。 「あんしんのため」と言われるそうです。 けれども、この検査で対象となるのは特定の遺伝子だけであり、解説者は「誰ひ…
演劇「イーハトーボの劇列車」(脚本:井上ひさし、主演:井上芳雄、2013年) 宮澤賢治の評伝劇。ただし、聖人伝ではない。井上ひさしは賢治を深く読み込み、愛し、その文学の継承者であるのだが、師を美化も神格化もせず、デクノボーとして描く。 父に反発…
映画「謝罪の王様」(脚本:宮藤官九郎、主演:阿部サダヲ、2013年) 拉致者の消息が知れず、反日の火が消えないのは、郷土に侵略し、人々を奴隷とし、殺し、財を奪いつくしたことを、国家、国民として、非道なことをしてしまったと心から反省し、誠実に謝罪…
「切りとれ、あの祈る手を 〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話」(佐々木中、河出書房新社、2013年) やっぱり、文を書き続けよう。と、ぼくはこの本に励まされた。数冊の翻訳とわずかの雑誌記事以外に、ぼくの書いたものが本になったことはない。文に力が…
映画「ハンナ・アーレント」(マルガレーテ・フォン・トロッタ監督、2012年) 数百万のユダヤ人を強制収容所に送る指揮をしたナチス親衛隊員、アイヒマン。 この男の裁判傍聴と、それに基づく論考の執筆、それへの人々の反応に焦点をあてて、ハンナを描く。 …
「ひさし伝」(笹沢信、2012年、新潮社) 井上ひさしさんの盟友・丸谷才一さんによれば「プロレタリア文学を受け継ぐ最上の文学者は、井上ひさしにほかならない・・・この少年はあの戦争に対する反省と戦後民主主義によって育ちました。その志は一貫して、権…
映画「もうひとりの息子」 テルアビブのイスラエル人家庭と、ヨルダン川西岸地区のアラブ人家庭。それぞれの18歳になる息子が、新生児の時、病院で取り違えられてしまっていたことを知る。 つまり、イスラエル人家庭でイスラエル人として育てられたアラブ人…
映画「星の旅人たち」 (エミリオ・エステベス監督、マーティン・シーン主演) 世界放浪中の息子に死なれたアメリカ人男性眼科医肥満とドラッグで妻に距離を置かれているフランス人男性暴力夫に娘を奪われ、たばこをやめられないカナダ人女性言葉が出てこな…
「井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法」 (文:井上ひさし、絵:いわさきちひろ、2006年、講談社) 日本国憲法の前文と9条を、ちひろさんが絵に、ひさしさんが詩にしてくれました。 もともと格調高い憲法前文ですが、この本では、詩と絵によって、新生…
「『けんぽう』のおはなし」 (原案:井上ひさし、絵:武田美穂、構成:五十嵐千恵子、2011年、講談社) 井上ひさしさんが小学校高学年に数度にわたり話したことをもとに構成された絵本。 井上さんがいわば「歩く戦後民主主義」であることが良く伝わってきま…
「ガリラヤとエルサレム 復活と顕現の場が示すもの」 (E. ローマイヤー著、辻学訳、2013年、日本キリスト教団出版局) イエスという人物に宗教的な意味と役割を与えたうえで中心に位置づける共同体を教会と呼ぶとすれば、二千年前の当初から、教会は一つで…
音楽劇「それからのブンとフン」 (作:井上ひさし、演出:栗山民也、こまつ座&ホリプロ、天王洲・銀河劇場、2013年10月) 生きているうちに、一冊でいいから、自分で書いた本を出版してもらいたい、と願っている。この音楽劇を観た直後の今は、それが芝居…
「あまちゃん」で 鈴鹿ひろ美が言っていた 「あなたは女優はだめね でも、天野あきを演じさせたら いちばん」 ぼくもだめだな あこがれの人々 うらやましい人々 になろうとしても こっちは まるで馬鹿すぎる けれども 林巌雄をやらせたら やっぱり ぼくが い…
才能、能力の違いは否定できない。 誰もが努力をすればマー君になれるというわけではない マー君になることに比べればはるかに簡単なことだが それでも皆が一所懸命に勉強すれば東大に入れるわけでもない 一対一万、一対百 才能、能力の違いはたしかにある …
ぼくがまともな本と思う著者は皆ぼくよりかなり頭が良い。ぼくより多くの本を読みこなし、それを上手に引き出しながら思考しつつ良く書く高度な能力(これを情報処理能力と呼ぼう)を持っている。しかし、これもある基準から見ての優秀さであり、知というも…