1 「ぼくの著者たちとは違う文知を目指す」

ぼくがまともな本と思う著者は皆ぼくよりかなり頭が良い。ぼくより多くの本を読みこなし、それを上手に引き出しながら思考しつつ良く書く高度な能力(これを情報処理能力と呼ぼう)を持っている。

しかし、これもある基準から見ての優秀さであり、知というものの一側面なのかも知れない。

有史以来現在まで、上述のようなことが優秀な知性とされてきたように思うが、じつは、知性には別の形態、可能性もありうるのではなかろうか。文知、などという言葉はなさそうだが、文による知的活動に限っても、別の展開がないだろうか。

ぼくが、20世紀のパソコンのようなスペックで、読み、書き、ぼくの著者たちとは違う文知を目指す、言い換えれば、馬鹿だけど知的活動をする、これがぼくの人生の目標の一つ。