2018-01-01から1年間の記事一覧

(97) 「イエスは誰をも追い出しません」

かつて女性には参政権がありませんでした。政治から締め出されていたのです。(日本では今も女性の政治家は少ないですが・・・)。それだけではありません。それ以外にも女性が「入ってはならない」とされる場がたくさんありました。いまもあります。 ひじょ…

436「国会前で抑うつ対策を施す精神科医?」   「迷える社会と迷えるわたし 精神科医が考える平和、人権、キリスト教」(香山リカ著、キリスト新聞社、2018年)

二十代のころ、外国人や日雇い労働者、身体障害者への差別に気付かされ、そういう社会を変えなければならない、自分も変革に参加したいと強く考えるようになった。三十才前後、自律神経失調症にかかり、心理学、臨床心理学、精神医学を一般読者向けに書いた…

(96)  「子に塩を持たせる」

災害級と呼ばれる猛暑が続きますが、子どもたちの運動部活動もまた続きます。親としては熱中症が心配です。本当は、35度を超える日は練習を中止にして欲しいし、二日練習したら一日休ませるぐらいの体調配慮を指導者に望みたいのですが、なかなかそうはいき…

435「キリスト教は世の中に新しいビジョンを提供できるかな」

「宗教改革2.0へ ハタから見えるキリスト教会のマルとバツ」(松谷信司編著、「ころから」発行、2018年) 池澤夏樹、阿刀田高、高橋哲哉、辛淑玉、安彦良和、里中満智子、酒井美紀、塚本晋也、内田樹、釈徹宗ら、教会の「ハタ」の人びとが交代で登場する13編…

(94) 「信じられなくても、願い求めつづけることが大切です」

子どもが、保育園の時、リレーの最終走者に選ばれました。「おまえが一番足が速いのか」と訊いたら、「先生は、最後まであきらめない人、最後まで走り続ける人にアンカーを任せた、と言っていたよ」という返事でした。 ある人は高校生の時から自分の部屋に引…

(93)「新しいことを知ったら、それにふさわしい新しい人生が始まります」

演劇のおもしろさに気付いたなら、わたしたちは、自分の小さな部屋を出て、劇場に行かずにはおられません。シネマの味わいに触れたなら、家を出て、映画館に行かないわけには行きません。 山の魅力を覚えたなら、わたしたちは、町を出て、登山口へ向かいます…

(92) 「悪いものも良いものも膨らみますが、良いものが悪いものを覆い尽くします」

6月23日。沖縄戦没者追悼式で、少女が祈るように読み上げた詩には、「戦力という愚かな力を持つことで、得られる平和など、本当は無い」という一節が刻み込まれていました。他方、その式に参列していた安倍首相とその政権は、沖縄・辺野古に米軍基地を新設し…

433「言葉を紡ぐために、祈るために」  「詩集 幸福論」(若松英輔、亜紀書房、2018年)

言葉を紡ぐことと 祈ること どちらも 発することではない どちらも 受け取ること 言葉を紡ぐことは 天から降りてくる 言葉を待つこと 「思ったことを 書くのではない 宿ったことを 書くのだ」 「宿りに求められるのは 待つことだ」 祈ることは 天から降りて…

(91)  「向き直らなければならないことがあります」

小学校低学年だったでしょうか。子どものころ、小倉で原爆展が開催されました。親に連れて行かれたのだと思います。親との外出ということで、最初は浮かれていましたが、すぐに、見続けるのが恐くなりました。焼けた街、建物、そして、人。高熱のせいで、靴…

432「国の政治のあり方は、あたらしく考案・構築可能なものだったのだ」   「明治史講義 【人物編】」(筒井清忠編、ちくま新書、2018年)

1800年代半ば、鎖国の日本にも、諸外国が迫ってくる。見るからに強そうだ。これに打ち負かされないためにはどうしたらよいか。 250年も経ちあちこち綻んできた徳川幕府では太刀打ちできない。どうするか。 大久保利通は「朝廷の下での幕府と有力藩(雄藩)に…

(90)  「たいしたことがないと思えば、たいしたことは学べません。何かあると思えば、何かが変わります」

いつも同じことの繰り返しのように思える高齢者の話でも、良く聞いてみると、じつは、毎回違うことを言っているはずだ、とカウンセリングの講習会で習いました。たしかに、同じ話だからつまらないと決め込まないで、あらたな気持ちで聞いてみると、いままで…

431「詩は宗教以上に神を語る」    「島の四季 志樹逸馬詩集」(志樹逸馬、編集工房ノア、1984年)

神は目に見えない。だから、宗教用語だけに任せてはならない。 だから、詩人は詩を詠む。 「ものの芽の均しく/天を指さす季節が来た」(「春」) 植物は天への憧れだ。 「洗濯は/みどりの風に微笑う/清潔なこころが/天にむかって/両手を高くのばす」(「洗…

(89) 「体の中に溜まっていた重い澱みが、イエスの言葉で、ざあーっと流れ出て行きました」

いつも子どもに抑え付けるような言い方をする親がいます。部下に有無を言わせない上司、妻に逆らわせない夫もいます。相手の言うことを聞かず、手も足も顎も縛り、身動きをさせず、何も言わせず、ただ自分の言いたいことだけを言い、したいことだけをするよ…

430「神の愛や善を少しでもわかちいただく精神を持ちたい」  「トマス・アクィナス 理性と神秘」(山本芳久、岩波新書、2017年)

自分のためなら、人を傷つける。それではいけないとわかっていてもそうしてしまう。そのような自分でも、神に見捨てられない=神からは赦されることがあるならば、それは、神の恩赦、神が自分に条件を求めず一方的にもたらす恩恵(これをキリスト教では恩寵…

(88) 「イエスが吹き込んでくれるもの」

毎日毎日が貧しくても厳しくても、美空ひばりの歌が流れていれば、疲れた体を明日も何とか起き上がらせよう、という気持ちになった時代があると聞いています。落胆しかないようなときでも、ロッキーやスター・ウォーズのテーマを聞けば、元気や希望が湧いて…

(87)「わたしたちの親子関係は、神さまとわたしたちの関係に良く似ています」

「そして父になる」という映画がありました。出生時に病院のミスで、子どもが他の家の子どもと取り違えになってしまいます。小学校入学時にそれが発覚し、そこから、登場人物たちは、親子とは何か、という大きな問いを抱え、苦しんだり、喜んだりすることに…

87    「人をモノにしてはなりません」

気にいらなくなったとか 不都合な点があるとか言って 配偶者を一方的に 離縁してはならない 未婚者であろうと 既婚者であろうと 辱しめてはならない 身体の特徴ゆえに 会衆から排除してはならない 人種・民族・血統ゆえに そうしてもならない 何人をも奴隷と…

(86)  「神は個別面談をしてくださいます」

個別指導塾というものがあります。教師一人に対し生徒が多数では、すべての子にしっかりと伝え、その情報や方法を身につけさせることは難しいからです。その子がどんなことは理解し、どんなことは理解できていないのか、どんな技術は身につけ、どんな技術は…

429「反省なしに繰り返す国」  「歴史と戦争」(半藤一利、幻冬舎新書、2018年)

高校生の子どもに世界史を勧めたかった。これからの何十年、何を学び、何を考えるにしろ、基礎となるからだ。けれども、日本史を選択した。考えてみれば、日本史も有益だ。幕末以降の近代史は、民主主義を学ぶ助けになる。 ぼく自身も日本近代史に興味を持ち…

86    「人を守らなければなりません」

木にかけられた人の体は 手厚く弔いなさい 誰かの遺失物を見つけたら 見ないふりをしてはならない 持ち主に戻るようにしなさい 女が男の着物を身につけてはならない なんてことはない 男が女の着物を着てはならない なんてこともない 神は誰をも ソロモンよ…

428「連合国家か国民国家か、多様性か均質性か」 「ハプスブルク帝国」(岩崎周一、講談社現代新書、2017年)

ぼくは世界史が苦手でした。なぜなら、フランスならフランス、ドイツならドイツという一国の歴史が同じ場所で続いてきたわけでもなく、また、「国」という概念も、かならずしも現在のそれと一致しないばかりか、ある時代において諸地域を横並びに見ても皆同…

427「移住する民と受け入れる民。無教会キリスト者とメキシコ人の場合」

「漫画 メキシコ榎本殖民史 サムライたちのメキシコ」(上野久原作、2008年) 19世紀後半、メキシコ南部に移住し、原生林を開拓した日本人がいる。ちなみに、東アジアの場合とは違い、土地は武力によって取り上げたものでない。最初は、榎本武揚の計画による…

85    「女性や子どもを虐げてはならない」

捕虜にした美しい女性に 心を引かれても 勝手に妻にしてはならない 十分なものを持たせ 帰らせなければならない お金で売ってはならない 奴隷にしてはならない 誰との間の子であっても 皆等しく扱わなくてはならない 憎む者との間の子であっても ひどい仕打…

426「ぼくは論理的ではなかったかも」 「入門! 論理学」(野矢茂樹、中公新書、2006年)

職場の先輩から「論理学の基礎」という本をいただいた。数学は小中高と不得意ではなかったし、いまでも子どもに「数?」「数A」を教えているので、これもスラスラ読めるだとうと思っていたら、なかなか手ごわかった。論理学の記号も慣れれば、+、−、×、÷のよ…

425「ラテンアメリカの500年を学んで、21世紀の人間抑圧・搾取・弾圧に否を唱える」 「ラテンアメリカ500年 歴史のトルソー」(清水透、岩波書店、2017年)

歴史はいつから始まるのでしょうか。ひとりひとりの生の堆積を歴史と呼ぶなら、歴史はそこに人が現われたときから始まることになります。 しかし、ラテンアメリカには500年以上前には人がいなかったのではありません。ヨーロッパ人がいなかっただけです。先…

(84)  「さようならは、その人との再会のはじまりです」

「さようなら」は別れの言葉ではなくて、いつかはわからないけれども、もういちど会える日が来るという希望。また逢う日を想いつつ、別れる。 これは、ひょっとしたら、日本のポピュラー・ソングだけが独占しているテーマではないかもしれません。別れには、…

424「読みやすい聖書のお話し十編」 「55歳からのキリスト教入門 イエスと歩く道」(小島誠志、日本キリスト教団出版局、2018年)

ぼくがこの本を読もうと思ったのは、タイトルに「55歳」とあるからです。ぼくが57歳でキリスト教に再入門したいということもありますが、それくらいの年齢の人、とくに、うちにはほとんどいない「おじさん」たちに教会に来てほしいと思うからです。この本に…

84 「いつわりの裁きをなしてはならない」

誰もいない野で人が殺され 犯人がだれかわからないとき 長老たちはその代わりに 雌牛を神に捧げなければならない 証拠なしに犯人を作り上げてはならない 無実の人を犯人に仕立ててはならない 偽りの裁判をなしてはならない 政治家が不法行政を強行するために…

(83)  「わたしたちは神から愛を受け、それを他の人とわかちあいます」

誰かに愛されたことのある人はこんどは他の誰かを愛するようになる、と聞いたことがあります。方程式のようにいつもそうなるとは限らないでしょうが、たしかに、誰かにやさしくされると自分も他の人に対してやさしい気持ちがもてる、という経験は一度や二度…

負けないいのちの詩83

「あなたは死んではいけません、戦ってもいけません」相手の軍備を見ても恐れるな 主がともにおられる あたらしい家を建てても 仕事を始めても 婚約しても戦争で死んでしまっては そこに住むことも 成果を得ることも 結婚することもできないきみ死に給うこと…