429「反省なしに繰り返す国」  「歴史と戦争」(半藤一利、幻冬舎新書、2018年)

 高校生の子どもに世界史を勧めたかった。これからの何十年、何を学び、何を考えるにしろ、基礎となるからだ。けれども、日本史を選択した。考えてみれば、日本史も有益だ。幕末以降の近代史は、民主主義を学ぶ助けになる。

 ぼく自身も日本近代史に興味を持ち始めてきた。「八重の桜」以来の大河ドラマだが「西郷どん」も観ているし、明治150年らしいし。

 半藤一利さんの名前は知っていたが、読むのは初めて。新聞広告に釣られて入手したが、過去の著作集からの語録というか、抜粋集だ。それでも、大政奉還から敗戦まで、ひとりの人の目、言葉を通して、概観することは無意味ではなかろう。

 「撃滅したはずの敵が本土空襲を始めるのであるから、国民は『大本営発表』を信じなくなった」(p.56)。官僚が決裁文書を改竄したり、それに内閣が絡んでいたりするのだから、ぼくたちももう信じるのはやめたほうがよい。

 「一億総懺悔」は「″一億一心″を裏返しにしたものである」(p.139)。なるほど。それで、9条改憲など言い出せてしまうのだ。

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