神は目に見えない。だから、宗教用語だけに任せてはならない。
だから、詩人は詩を詠む。
「ものの芽の均しく/天を指さす季節が来た」(「春」)
植物は天への憧れだ。
「洗濯は/みどりの風に微笑う/清潔なこころが/天にむかって/両手を高くのばす」(「洗濯」)
洗濯物の中身も、そのまた中身も、天を慕い求める。
「天はまねき/地はささえる/生きとし 生けるものを/私の十字架も/青空の瞳の中にかかっている」(「青空」)
隔離された島から天を見上げる者を、天もまた見守っている。
「人が求めるから神があるのではない/求めることを知らないものにも神はある」(「神」)
天はすべてを包み込む。