十余年前に教会の建物を建て替えました。そのさい、庭に木の苗を何本か植えました。オリーブ、いちじく、リンゴ。桃栗三年、柿八年と言いますが、たしかに、ここ数年、どの木もよく実を結んでいます。
オリーブは摘むと数籠にもなり、アクを抜いて漬けていただきます。いちじくやリンゴは、さっと洗う程度で、そのまま食べます。
花壇では、ブルーベリーやハナニラ、あじさい、ひまわり、ミニ薔薇などを育てています。生垣はヤマブキです。少し前まで、黄色の花をいっぱいに咲かせていました。それに促されたかのように、花壇のイエロー・フリージアも満開になりました。
そして、ヤマブキとフリージアにあわせたかのように、タンポポや名前の知らない草までもが、黄色の花びらをたくさん開きました。もちろん、種を蒔いたわけではありません。知らないうちに自然に種が蒔かれたのでしょう。
予定通りに芽を出し花開くものもありますが、予定していなかったものもあります。
わたしたちの人生はどうでしょうか。計画したものだけが開花しているでしょうか。それとも、予想外に咲く花もあるでしょうか。
子どもたちを見ていますと、親が教えなかったものがいくつも育っていることを感じます。友達づきあいや、子どもらしい無邪気な心もそうですが、なんと言っても、生きていく力です。そんな種は蒔いた覚えがなかったのに、ありがたいことに若木がしっかり成長してきています。
聖書によりますと、神さまは、愛、喜び、平和、寛容、誠実などの種をわたしたちの中に蒔き、育て、実を結ばせてくださっています。
自分の感情だけ見ていると、孤独や心配、憎しみ、悲しみ、葛藤、不寛容、虚偽しか見当たらないのですが、知らずに庭に生えたタンポポや名も知らぬ野草のように、これらと正反対のものも育っているかもしれません。
わたしたちはマイナスの気持ちや感情だけを見つけがちですが、よく探したら、わたしたちの中には、神さまが育ててくれた愛、喜び、平和、寛容、誠実も実を結んでいるのではないでしょうか。しずかに探せば、きっと見つかることでしょう。