2015-01-01から1年間の記事一覧
「霊性の哲学」(若松英輔、KADOKAWA/角川学芸出版、2015年) 人から蔑ろ(ないがしろ)にされたと感じたら、ぼくは激しく怒る。これは良くない、プライドだけが高く、がまんが効かない短気な気質のせいだと思ってきた。けれども、この本の最終章で、ハンセ…
「鎮魂の地図 ―沖縄戦・一家全滅の屋敷跡を訪ねて」(大城弘明、未来社、2015年) 日本の海外侵略戦争は、二千万人とも言われるアジアの人びとを殺し、兵士を殺し、本土空爆を招き、米軍の沖縄攻撃を招き、沖縄住民の四分の一を殺してしまいました。 全滅し…
「しあわせは微笑みが連れてくるの」(ジャンヌ・ボッセ、メディアファクトリー、2012年) ぼくのピアノと声楽の先生は、カトリック信者。イースターやクリスマスごとに、このような小さなご本をくださいます。 今回の著者は、日本に来て65年、96歳のカナダ…
「抗う島のシュプレヒコール――OKINAWAのフェンスから」(山城博明、岩波書店、2015年)辺野古新基地反対行動や 翁長沖縄県知事の 基地移設作業停止指示は 突然降って湧いてきたのではない。 戦後70年、米軍と日本政府が 沖縄を奪い、抑え付け、 蹂躙してきた…
「ルワンダの祈り 内戦を生きのびた家族の物語」(後藤健二、2008年、汐文社) 後藤健二さんがお亡くなりになった、というのが事実だとしても、後藤さんはひとりで旅だったのではない、取材で出会った人びとの家族、空爆やジェノサイドで殺された家族が、後…
「希望の地図 3・11から始まる物語」(重松清、2015年、幻冬舎) 安易な希望や復興キャンペーンではない。「『希望』だけでは被災地を語れないし、『絶望』だけでも語れない」(p.259)。「『その気持ち、わかるよ』とは、もちろん言えない。けれど、わからな…
「雪の夜」(小林敬三、2014年、女子パウロ会) 敗戦後、キリスト教に出会い、神父になった著者が、日々の経験や世の中の出来事から聖書のメッセージをしんみりと語った講話集。カトリック信者でいらっしゃるピアノと声楽の先生からクリスマスプレゼントにい…
「被災弱者」(岡田広行、2015年、岩波書店) 被災者は、3月11日に被災しただけではありませんでした。その後の避難生活でも、住宅、仕事、健康、コミュニティなどの問題で、ダメージを受け続けているということをこの本を通して思い知らされました。 新聞記…
「もしも学校に行けたら アフガニスタンの少女・マリアムの物語」(後藤健二、2009年、汐文社)後藤さんは少女のために本気で祈ります。「神さま、どうか彼女たちを導いてください」(p.82)。「指導してください」ではなく「ともに歩んでください」とぼくには…
「井筒俊彦 叡智の哲学」(若松英輔、2011年、慶応義塾大学出版会) ぼくはキリスト教徒だ。この本はキリスト教の本というわけではない。けれども、キリスト教のエッセンスが、ここには満ちていた。キリスト教信仰の多様な側面を経験してきたことが、本書の…
「川崎洋詩集」(川崎洋、2007年、角川春樹事務所) たしか、茨木のり子さんの「詩のこころを読む」で紹介されている詩人の中で、ぼくにはとてもわかりやすく、最初に読んでみたいと思ったのが川崎洋さんだったので、この本を求めたのだと思います。 ところ…
「シェイクスピアの人間学」(小田島雄志、2007年、新日本出版社) 井上ひさしさんの大ファンのぼくは、「井上ひさしの劇ことば」というタイトルの書物にも、とうぜん、興味を魅かれました。これが、小田島雄志さんとのファースト・コンタクトです。そして、…
「現代の超克」(中島岳志・若松英輔 、ミシマ社、2014年) 「自分は信仰が薄いから救われないかも知れない」と悩んでいる人は、ぜひ、この本を読んでみてください。 そのような人さえも、あるいは、「信じる者さえ」も、あるいは「信じる者こそが救われる」…
「音楽家の名言3 壁を乗り越えるためのメッセージ」(檜山乃武、2011年、ヤマハミュージックメディア) ピアノと歌を教えていただいている先生から、おさらい会の記念品としていただきました。 作曲家、演奏家などの言葉、似顔絵と、解説が載っています。 た…
「人に強くなる極意」(佐藤優、2013年、青春出版社) 「人に強くなる」「極意」というよりは、「社会人、職業人として、しっかり生きていくための」「心がけ」といった内容だと思います。 それを「怒らない」「びびらない」「飾らない」「侮らない」「断ら…
「そうか、君はカラマーゾフを読んだのか。仕事も人生も成功するドストエフスキー66のメッセージ」(亀山郁夫、2014年、小学館) カラマーゾフをはじめて読んだとき思ったのは、父親をはじめ、登場人物の言葉や行動が過剰だ、ということです。発言は長いし、…
「現代のたとえ話」(F・アワズラー原著、鳥羽徳子・鳥羽和雄翻案、1974年、教文館) この世界の目に見えるものの奥底にいる、目に見えない神、ということがさいきん心の中にいつもあります。目に見える花や木や川や水をいまここにあらしめる目に見えない神…
「自閉症者の魂の軌跡 東アジアの『余白』を生きる」(真鍋祐子、2014年、青灯社) 著者の少女時代から東大教授の現在まで。自閉症者の物語。本人は「ロードムービー」つまり「何人もの死者とともになした思索の旅の軌跡」(p.324)と称しています。 とてもお…
「教科書の詩をよみかえす」(川崎洋、2011年、ちくま文庫) 茨木のり子さんの「詩のこころを読む」 (岩波ジュニア新書) に紹介されている中で一番とっつきやすそうなのが川崎洋さんだったので、川崎さんの詩を読もうと検索してみると、この本が出てきました…