「鎮魂の地図 ―沖縄戦・一家全滅の屋敷跡を訪ねて」(大城弘明、未来社、2015年)
日本の海外侵略戦争は、二千万人とも言われるアジアの人びとを殺し、兵士を殺し、本土空爆を招き、米軍の沖縄攻撃を招き、沖縄住民の四分の一を殺してしまいました。
全滅した家族もあります。かろうじて生き残った人びとは、砲弾などで破壊された家跡にもどり、なんとか再建したのかも知れませんが、主の帰らぬまま70年経った今も空いたままの地所もあると、この写真集ではじめて知りました。近所の人びとか、親戚か、友人かが、慰霊の小さな祠を建てているところもあります。
空き地は、かつてそこに生きていた人びとが皆死んでしまったことだけでなく、今もそこに生きていることを物語らずにはいられないでしょう。
沖縄に基地があり、新基地を造るとは、生ける死者たちをふたたび絶滅させることに他ならないと思いました。