17 「聖書の奥深さ」

(イエスの生と死という)「一番肝心なことについて、複数の福音書という形で微妙な不確定性があって、そういう立場の違いをはじめから認めているようなところが、キリスト教の奥深さだと思うんですね」(「ふしぎなキリスト教」における大澤真幸さんの発言)。

この本は、キリスト教関係者からはあまり好評を得ていないようですが、橋爪大三郎大澤真幸という立派な研究者、思考者が書いているわけですから、何か得るところがあるだろう、彼らがどういう切り口でキリスト教を語るのだろう、そういう期待をもって読み始めました。

第一章は、ヴェーバーの「古代ユダヤ教」の超簡単な復習になりました。この本、挑戦しましたが、途中で挫折。解説本は一、二冊読んだような。

で、第二章のはじめに、上の大澤さんの言葉。

そのとおりだと思います。聖書自体に、「毒麦」かも知れないものも刈り取らないところがあると思います。

ただ、これは新約の福音書に関してだけでなく、 旧約聖書の2章、3章の創造物語の記事配置にも見られるように、両論併記は、それ以前からの伝統かもしれないと思います。