パンセとは「考え」という意味です。
パスカルは「考えることが人間の尊厳のすべて」と「パンセ」の中で述べています。
では、人間は何を考えるのでしょうか。人間は自分の不幸、そして、究極的には、自分がやがて死んでしまうということを考えますが、それはとてもつらいので、気晴らしに、他のことをしようとします。それは、必ずしも、悪いことではありません。
自分の不幸を考えてしまうことから救われるもう一つの方法は、「自分の不幸を考えてしまう自分」について「考える」ことです。
この消息をパスカルはこう述べています。「人間は悲惨である。なんとならば、悲惨だから。だが、人間はじつに偉大である。なぜなら、悲惨であることを知っているから」。
これをもっと有名な言葉で言えば「人間は考える葦である」ということになるでしょう。
ぼくたちは、ときに、「自分は悪いことばかり考えてしまう。もっと良いことを考えなければならない。でも、考えられない」と悩みますが、「自分は悪いことばかり考えてしまう」と考えることは、「自分は悪いことばかり考えてしまう」と考えないでそうしてしまうより、ずっと幸福なのかも知れません。
考えるということは、考えるということを考えるということであり、それをまた考えることであり・・・と、誰かが述べていました。