534 「悪いことばかり考えてしまう、ということを考えることの救い」・・・「パスカル『パンセ』(NHK100分de名著)」(鹿島茂著、NHK出版、2012年)

 

 

 パンセとは「考え」という意味です。

 パスカルは「考えることが人間の尊厳のすべて」と「パンセ」の中で述べています。

 

 では、人間は何を考えるのでしょうか。人間は自分の不幸、そして、究極的には、自分がやがて死んでしまうということを考えますが、それはとてもつらいので、気晴らしに、他のことをしようとします。それは、必ずしも、悪いことではありません。

 

 自分の不幸を考えてしまうことから救われるもう一つの方法は、「自分の不幸を考えてしまう自分」について「考える」ことです。

 

 この消息をパスカルはこう述べています。「人間は悲惨である。なんとならば、悲惨だから。だが、人間はじつに偉大である。なぜなら、悲惨であることを知っているから」。

 

 これをもっと有名な言葉で言えば「人間は考える葦である」ということになるでしょう。

 

 ぼくたちは、ときに、「自分は悪いことばかり考えてしまう。もっと良いことを考えなければならない。でも、考えられない」と悩みますが、「自分は悪いことばかり考えてしまう」と考えることは、「自分は悪いことばかり考えてしまう」と考えないでそうしてしまうより、ずっと幸福なのかも知れません。

 

 考えるということは、考えるということを考えるということであり、それをまた考えることであり・・・と、誰かが述べていました。

 

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