誤読ノート502 「『本当の』や『頭の良さ』を持ち出さなくても良いのに」 ・・・「本当の『頭の良さ』ってなんだろう?」(齋藤孝、2019年、誠文堂新光社)

 そもそも、「頭が良い」とか「良くない」とか、言わなければならないのだろうか。「本当の」って、何だろうか。「本当の」とか「本当でない」とか、言わなければならないのだろうか。

 

 この本によれば、「本当の『頭の良さ』」とは、以下のようなものだそうだ。

 

1)判断力、誠意、行動力がある

2)「知る」「考える」喜びに、ワクワク、イキイキする

3)学校は人との接し方の練習場

4)受験は、自分の強み、戦い方を発見する機会

5)本を友達にする

6)好きなことにハマる、没頭する、情熱を持つ

7)ほがらかで、自分も他人も上機嫌にする

8)今のベストをつくすが、うまく行かなくても、他の道があることも知る

 こういうのが「本当の『頭の良さ』」だそうだ。

 

 すると、判断力も誠意も行動力もない、ワクワク・イキイキしていない、人と接することを避けて学校に行かない、受験で強みも戦い方も発見できない、本を読まない、何にも没頭できない、不愛想で自分も他人も不愛想にする、ベストを尽くさない、ひとつうまく行かないと絶望する人は、「本当の『頭の良さ』」を持っていないということになるのだろうか。

 たしかに、上の八つは、自分の人生を楽しくしたり、他人を和ませたりするだろう。

 けれども、人生が楽しくなかったり、他人と和まなかったりすると、「本当の『頭の良さ』」がないというのだろうか。

 上の八つは「本当の『頭の良さ』」というより、むしろ、「自分や他人とうまくやる方法」であろう。

 

 自分とも他人ともうまくできず、苦しくても、「本当に頭が良い」とは言えない、なんてことはない。人生は、どんな人生でも、人生だよ。「本当」とか「頭の良さ」などを持ち出さなくても良いんだよ。

 

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