2021-10-25から1日間の記事一覧

603 「信仰は意地でも信念でもなく・・・」 ・・・「女の一生 一部・キクの場合」(遠藤周作、新潮文庫、1986年)

遠藤のもうひとつのキリシタン小説「沈黙」に登場するキチジローは、キリストを棄てる。だが、キリストはキチジローを赦す。 しかし、遠藤は弱い者、人間の弱さだけを描いているのではない。「沈黙」にも、この「女の一生」にも、けっして信仰を棄てない者た…

602「ふたりのむすめ」・・・「マイ・ダディ」(山本幸久、2021年、徳間書店)

女の子は十代。父親の仕事を手伝ったりもするが、恋もする。ところがある日、大きな試練に見舞われる。 父親は小さな教会の貧乏牧師。牧師職だけでは食べていけないので、ガソリンスタンドでアルバイトをしている。 ぼくも牧師をしながら非常勤教員もしてい…