誤読ノート494 「本が読めないときは、若松英輔さんを読もう」・・・「本を読めなくなった人のための読書論」(若松英輔、2019年、亜紀書房)

 酷い目にあった。相手に非を認めさせたい。うまくいかせたくて仕方がないことがある。そういうときには、若松英輔さんを読む。

 

 悲しいとき、苦しいときには、本が読めなくなる。そういうときには、若松英輔さんを読む。若松さんのエッセイを読む。小型の本、字や行間の大きい本を読む。

 

 「少なくとも読むことにおいて、速くできるようになることは、ほとんど意味がありません」 (p.49)。

 

 ぼくは、あるとき、自分は本を読んでいない、知識がない、思考が浅いことに気づき、本を読もうと思った。ぼーっとしていないで、テレビなど観ていないで、ネットなどしないで、本を読まなくてはならない、という強迫観念がぼくに住みついた。

 でも、本当は早く多く読まなくていいのですね。安心しました。

 「言葉は、多く読むことよりも、深く感じることの方に圧倒的な意味があるからです」(同)。

 

 若松さんの言う読書は、知識を獲得することではなく、叡知に触れることだろう。「深く感じる」とは、この世界の深いところにあるもの、言葉の泉にあるコトバを垣間見ることだ。読書は花を見て花の神秘を思うことと変わらない。

 スマホ眺めよりも、祈りや礼拝、黙想の方が、読書にはるかに近い。

 

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