誤読ノート493 「茨木のり子を読むための参考書」・・・「花神ブックス1 増補 茨木のり子」(花神社、1996年)

 

 

 茨木のり子さんの自選詩63編、童話、エッセイ、本の後書きなどに加えて、川崎洋さん、新川和江さん、吉野弘さん、工藤直子さんらの「茨木のり子について」約20編が収められています。

 

 「やわらかな人間のおかしみと、決然たる意志が、歴史に向かってひらかれている。ここには一つの観念語もない」(p.105)。

 

 藤久ミネさんの茨木評。たしかに、茨木さんの詩はおかしみ(おかしさではない)があり、決然としています。凛としています。

 

 ぼくはと言えば、茨木さんの詩は好きです。とぼけた感じもするし、まっすぐでもあります。けれども、日常の言葉ではありません。詩の言葉です。世界の観方が深く、表現が巧みで、深いのです。

 高校生に好きな言葉を書いてもらったことがあります。ポピュラーソングの歌詞の抜粋が多い中、ひとり「自分の感受性くらい」を引いている生徒がいて、感動したものでした。

 

 戦時中、茨木さんは東邦大学薬学部の前身の学生だったそうです。ぼくの現住地から十分も歩かないところなので、そんなことからも、親しみを感じています。

 

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