ライオンの名はアスラン。森の王にして、大海のかなたに住む大帝の子息。
「アスラン来たれば 悪が滅び
アスラン吼ゆれば 悲しみ癒える
牙の一閃 冬を葬り
たてがみふるえば 春めぐりくる」
けれども、魔女にとらわれたエドモンドを救うために、アスランは吼えもしなければ、牙をむきもしませんでした。
むしろ、その正反対のことをしたのです。
永遠のお別れに、子どもたちは、アスランの顔にキスをし、撫でさすり、全身をきれいにぬぐいます。
ところが、翌日、ふたたびそこを訪れると・・・
「ああ、ひどすぎるわ」「なきがらぐらい、そっとしておいてくれたっていいのに」「誰がこんなことをしたの?」
けれども、うしろから、良く通る声が。
ふたりがふりむくと・・・
大学時代、好きだった人が「涙なしには読めない」と言っていた旧訳。それは、どちらの場面だったのでしょうか。