530 「ファシズムの潜入と急襲」・・・「供述によるとペレイラは……」(アントニオ・タブッキ著、須賀敦子訳、2000年、白水社)

 小説の舞台は1930年代。ファシズムポルトガルの一新聞記者をも見逃さなかった。

 

 ファシズムは、さいしょは、姿を見せない。密かに忍び寄り、得体のしれない不気味さを漂わせるだけだ。

 しかし、それは、ある日、姿を現す。知性のない、しかし、反論を許さない決めつけの暴言のジャブをいくつも放っておいて、さいごは、金属によって相手を鮮血に浸す。その暴虐をあきらかにする。

 2020年の今日も、ファシズムの網は張り巡らされているし、しばしば急襲もあることを教えられる。

 

 須賀敦子の翻訳がすばらしい。翻訳を読むときの苛立ちがまったくなく読めた。翻訳は第二の創作である、という言葉は須賀のためにある。

 

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