2020-10-15から1日間の記事一覧

531 「哲学のやさしさ」・・・「西田幾多郎『善の研究』(NHK100分de名著)」(若松英輔著、NHK出版、2019年)  

哲学はやさしい。しかし、哲学は難しいと思われている。カタカナや漢字の抽象的な用語。用語と用語の間の複雑な結びつき。それらを述べる文章のわかりにくさ。 西田幾多郎「善の研究」も難読書と言われている。幾多郎の「幾」は幾何学を連想させるし、「善」…

530 「ファシズムの潜入と急襲」・・・「供述によるとペレイラは……」(アントニオ・タブッキ著、須賀敦子訳、2000年、白水社)

小説の舞台は1930年代。ファシズムはポルトガルの一新聞記者をも見逃さなかった。 ファシズムは、さいしょは、姿を見せない。密かに忍び寄り、得体のしれない不気味さを漂わせるだけだ。 しかし、それは、ある日、姿を現す。知性のない、しかし、反論を許さ…