367  「映画も聖書もかなり知ることができます」 「シネマで読む新約聖書」(栗林輝夫著、日本キリスト教団出版局、2016年)

 その映画や小説に、たとえば「ジョン・コーフィ」のように、イニシアルがJ. C.あるいはC. J.となる人物が出てきたら、それは何らかの意味でイエス・キリストに重ねられている可能性が高いかもしれない、ということをこの本から学びました。

 スターウォーズ、E. T.、インディ・ジョーンズウエスト・サイド物語タイタニックサウンド・オブ・ミュージックターミネーターオーメンショーシャンクの空にグリーンマイル、そして、風の谷のナウシカ北斗の拳などが、本著では取り上げられています。

 その目的は「新約聖書という書物において、イエス・キリストがどんな物語を持った人なのか、またイエスに出会った人々が彼によってどう変えられていったのか、そのストーリーを映画の登場人物たちに重ねあわせて考えること」(p.197)と著者の栗林先生は述べておられます。

 栗林先生は、必修だからといった理由で「キリスト教学」を受講する大学生が、「熱心に前を見てくれ」「わくわくしながら聖書を読むことができるようになる」(p.198)ことを願って、この本を書かれたということです。

 「今を生きる」という映画で、やる気のない生徒たちに熱い思いで文学を伝えようとした、ロビン・ウィリアムズが演じた教師のように「教卓の上に飛び上がらずとも」「教科書を破らずとも」(同)と述べておられますが、本書には、まさに、情熱をもって、学生、そして、読者であるわたしたちと向かい合ってくださる栗林先生のお姿があります。

 「聖書は抽象的な概念や論理をそこに探求するというよりも、キリストの物語を物語ることを通して『今を生きる』ひとりひとりに、自分と世界を問い直させる書物です。そこでこの本では、聖書の言葉や物語が重要な鍵になっている映画を選んで、その登場人物たちの口を通して聖書の物語を語らせる方法をとりました」(p.199)。

 新約聖書の物語や背景となる知識を学ぶ、格好の入門書でもあります。そして、もちろん、それとどうじに、さまざまな映画も味わえます。

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