新約聖書のマタイによる福音書には、イエスがユダヤのベツレヘムで生まれたとき、東の方から占星術の学者たちがやってきて、黄金、乳香、没薬を贈った、という物語が載っている。キリスト教の学校や教会で、観たことや演じたことがある人もいるだろう。
この学者たちは博士とも呼ばれ、贈り物の数から三人と推測されている。原作者は、生まれたばかりのイエスを訪ねようとした博士は、じつはもうひとりいた、ということにして、ペンを手に取った。
その原作を、子ども向けに日本語で書き直し、原作にはない絵を、おむらまりこさんがあたらしく画いたのが、この絵本だ。
ページで言えば三十数頁、見開きで数えれば十数枚の絵。これがじつにすばらしいのだ。
挿絵ではなく、絵が物語そのもの。まさに絵本。
まるで映画のような、見事な場面変化。
夜があり、旅があり、愛がある。
最後の三つの場面は圧巻。
子どもたちは大好きになるだろう。大人たちは深く感動するだろう。
小説の映画化とおなじように、原作の絵本化も創作であり、芸術であることを教えられた。