448 「ことしのクリスマス最高の新作絵本」 「もうひとりのはかせ」(原作:ヘンリ・ヴァン・ダイク、文:中井俊己、絵:おむらまりこ、新教出版社、2018年)

 新約聖書のマタイによる福音書には、イエスユダヤベツレヘムで生まれたとき、東の方から占星術の学者たちがやってきて、黄金、乳香、没薬を贈った、という物語が載っている。キリスト教の学校や教会で、観たことや演じたことがある人もいるだろう。

 この学者たちは博士とも呼ばれ、贈り物の数から三人と推測されている。原作者は、生まれたばかりのイエスを訪ねようとした博士は、じつはもうひとりいた、ということにして、ペンを手に取った。

 その原作を、子ども向けに日本語で書き直し、原作にはない絵を、おむらまりこさんがあたらしく画いたのが、この絵本だ。

 ページで言えば三十数頁、見開きで数えれば十数枚の絵。これがじつにすばらしいのだ。

 挿絵ではなく、絵が物語そのもの。まさに絵本。

 まるで映画のような、見事な場面変化。

 夜があり、旅があり、愛がある。

 最後の三つの場面は圧巻。

 子どもたちは大好きになるだろう。大人たちは深く感動するだろう。

 小説の映画化とおなじように、原作の絵本化も創作であり、芸術であることを教えられた。

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