278  「ぼくたちの根はぼくたち自身の奥底に」

「存在の根を探して イエスとともに」(中川博道、2015年、オリエンス宗教研究所

 ここに「存在」するぼくたちの「根」はどこにあるのでしょうか。カルメル修道会の司祭が聖書の言葉からそれを説き明かしてくださいました。

 「これを見て、よしとされた」。創世記1章末尾のこの言葉は、ぼくたちの「根底に響いている神からの」ぼくたちへの「語りかけであろう」と中川さんは言います。そして、この響きを聴くヒントとして、小鳥のさえずり、風の音、身近な人の話や息づかい、自分の心身にじっと耳を傾けることが挙げられています。

 マリアは妊娠によってキリストを自分の胎に宿したように、キリスト者は洗礼によってキリストを内奥に身ごもると中川さんは述べています。ぼくは、洗礼によらずとも、先の創造時の声によって、すべての人は自分の根なる神=善(善し!)を自分の奥底にすでに秘めていると思います。

 いずれにせよ、ぼくたちの根はぼくたち自身の奥底にいてくださった、これは伝統的でもあり、斬新でもある大発見ではないでしょうか。

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