「エッサイの木 クリスマスまでの24のお話し」(ジェラルディン・マコックラン著、沢知恵訳、池谷陽子絵、日本キリスト教団出版局、2014年)
教会堂で木の板を彫るおじいさん。そこに現われた男の子。
真ん中に大きな木があって、その枝に毎回、少しずつ「実」が結ばれていきます。
太陽と月であったり、果実であったり、箱舟であったり。おじいさんは、そのたびに、鑿を持つ手を休ませて、それにまつわるお話を、男の子に語り聞かせるはめになります。
それにあわせて、読者は、イエスさまの誕生につながっていく、旧約聖書の物語に一緒に耳を傾けることができます。
はたして、この男の子は?
「おじいさんは、まるでその場にいたかのように話すね」「この羊飼いと羊をほっているあいだ、たしかにわしは『その場』にいる」(p.136)。
読者もたしかにそこにいます。聖書を読むときと同じように。
歌手であり詩人の系譜にいる沢知恵さんの訳文、そして、池谷陽子さんの絵が、それを助けてくれます。
英語原本のではなく、池谷さんのあたたかで、メッセージに満ちた絵がふんだんに使われているのが、とても良い。