「新島襄物語: 良心へ向かう志」(富田 正樹 (著), 山本 真司 (著)、新教出版社、2015年)
140年前、新島襄が起こした同志社英学校は、いまや小学校から大学までそろっています。その中には四つの高校も含まれ、この本はその生徒たちを対象に書かれたとのことです。
ぼくも同志社大学の卒業生ですが、同志社の起こりや歴史にはまったく関心がありませんでした。けれども、新島のつれあいを主人公にしたNHKの大河ドラマ「八重の桜」を見て、にわかに関心を持つようになりました。襄はたしかに魅力的な人物です。
本書はドラマでかじった新島や同志社の歴史のよい復習になりました。幕末、ひとりの若者が何を胸にアメリカに行き、何を胸に帰国し、何を旨にふたたび日本で活動したか。また、それを取り巻く、日本やアメリカの社会事情はどのようなものであったか。高校生でなくても、読み応えのある一冊です。
欲を言えば、襄がアメリカで学んだ思想や、帰国後、同志社を営む精神をもっと深く知りたいと思いましたが、それは、あらたな読書欲の喚起になりました。