204 「学問とオカルト、神秘と俗物の同居」

 「不思議なくらい次々と自分に奇跡を起こす心の魔法40: どんな“悩み”もパッと消えさる心理術」(諸富祥彦、2013年、三笠書房

 いかにもいかがわしいタイトルですし、「不思議」でも「次々」でも「奇跡」でも「どんな」でも「パッと」でも「心理術」でもありませんでしたが、著者は、立派な心理学者で、研究やまともな著作を重ねている方です。お友達がFacebookで紹介していたので、読んでみました。

 いかがわしさを覚えるのは、出版社のコピーのせいだけでなく、著者が、オカルトまがいに思えることと、ちゃんとした学問の間、それから、仕事がうまくいく、人生に成功するというような俗物的なことと、人間の深層にかかわることがらの間を、とても自由に行き来しているからでしょう。

 ラインマーカーで線を引いたところを振り返ってみますと・・・

 「人から嫌われたくない」という思いが、人生、とくに、人生の変化の最大の障壁になる。

 過去にとらわれたり、未来を空想したりばかりでいると、「人生の流れ」が滞ってしまう。「いま、ここ」を生きることに集中。

 「他人」と「過去」は変えられない。「自分」と「いま」なら変えられる。

・・・この手の本の定番文句ですね。でも、心当たりがありますね。復習にはなります。

つづいて、

 自分の世界を自分の観方で固定してしまわないで、生命力に満ちた子どもの笑顔、朝の鳥の音(ね)、夕陽、トーストの香ばしさなどに、「最高の世界」を見出す。

 自分磨きよりも、人をちょっとだけ喜ばせることを考える。

などと言うようなことが述べられています。自分の外を見るってことでしょうか。
 
 ぼくが今回一番印象に残ったのは、チラチラ気になるものの中に、メッセージを見い出すことの提案です。

 さっそく試してみました。その時は、黄色いもの・・・コインパークの看板やお店のノボリなどが気になりました。これは、何だろうと考えて、パッと思い当ったわけではありませんが、黄色のハンカチのように、あたたかさや幸せのことかなということにして、自分の心にも人にもあたたかくなろうと思い、二日くらいは有効だったと思います。
 
 この本の性質上だと思いますが、苦しみそのものを見つめることなどには触れられていませんでした。諸富先生はそのあたりどう考えているのか、気になるところです。

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